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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
二の刻・青年期前半
第二十三話「目覚めよ、秘められし力(前半)」
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魔物達の闘いから一夜明け、リュカ達はオルタムの馬車に乗って一路オラクルベリーの街へと進んでいた。
ブラウニーは余程疲れていたのか、あれから一度も目を覚まさずに眠り続けている。

「しかし、悪い奴じゃ無いってのは解ってるがこのブラウニー、街の中に連れて行って大丈夫なのか?」
「なあに、心配はいらぬよ。街の中には魔物を手懐けて一緒に暮らしておる変わり者の爺さんがおるんじゃよ」
「ま、魔物を?」
「そうじゃ。街の者達は《モンスター爺さん》と呼んでおる。その爺さんに預ければ悪い事にはならぬじゃろうて」
「一緒に暮らしている…か」

そう聞いてリュカの脳裏にはあの頃の穏やかな日々が蘇える。
共に暮らした"三人の友達"、リンクスとピエールとスラリンの顔が。

「アイツ等、無事だといいがな。特に…リンクス……」

今も故郷、サンタローズに居る筈のピエールとスラリンとは違い、古代遺跡で別れたままのベビーパンサーのリンクス。
何時も一緒だった甘えん坊の彼女の事を忘れた事は片時も無い。
そんなリュカを見て、ヘンリーは申し訳なさそうに彼の名を呼ぶ。

「リュカ…」
「大丈夫だよ、あの娘はあれで結構強いんだ。無事で居るに決まってる」
「ああ、そうだな」
「よっしゃ!見えて来たぞ。あれがオラクルベリーの街、別名《眠らぬ街》じゃ」

オルタムの言葉に二人は馬車の窓から身を乗り出して進行方向に目をやると、まだ日が高いにも関わらず街の外壁からは眩い光が漏れ出している。

「何だ、あの光は?」
「そういやお前さん達は知らなかったんじゃな。あれはカジノのネオンの光じゃよ」
「カジノ?」
「ゴールドを換金したコインを使って、色々な賭け事をして増やしたコインを再びゴールドに戻すなり、貴重なアイテムと交換したりする場所じゃよ」
「ほう、中々面白そうな場所だな」
「じゃが、気を付けるんじゃぞ。うっかりとはまったりすると財布のHPが0になってしまうからの、ほっほっほっ」
「…それは危険な場所だな」
「まあ、カジノは後で覗くなり遊ぶなりすればええ。まずはこのブラウニーをモンスター爺さんの所まで運ぶとしよう」

そう言って門を潜ったオルタムは街の外れにあるモンスター爺さんの家に馬車を進める。



―◇◆◇―

其処は一見すると石造りの有り触れた家の様だが、魔物達が住処にしているのは地下らしい。
むやみやたらに街の中に出歩かない様にする為と、街の住人を怯えさせない為だという事だ。

馬車から降りたオルタムは扉に近づくと、《コンコンコン、コココココン》とノックをする。

「随分と面倒くさいノックの仕方ですね」
「これは魔物を連れて来たぞという合図じゃよ。この合図以外では爺さんは表には出ては来ぬからな」
「何故だ?
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