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歌集「春雪花」
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 思ふだに

  遠く離れし

    片割れの

 月を仰ぎ見

   君 恋しける



 見れば、今日は半月が夜空へと輝いている…。

 あの月は、ここから遠く離れ…また遠い太陽からの光を反射しているのだ。

 彼との距離も…同じほど遠くに感じて、空に掛かった片割れの月を眺める程に…彼への想いが募るものだ…。



 叶わざる

  恋と知りつつ

   なお求む

 春ぞ侘しき

    日も陰りけり



 叶わない…そんな解り切ったことを自分に言い聞かせても、それでも彼を欲する心は消せず…。

 寒さは残るものの陽射しは暖かく、あぁ…春になったのだなと思いはするが、ここに彼の姿は見えない…。

 それは…薄雲に陽射しが遮られるように…私の心を侘しさが捕らえるのだ…。

 三月は夢見月…私の夢は…どこにあるのだろうか…?




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