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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二七幕 「少女が見た流れ星」
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階で援護があった筈。なーんか不気味ですねぇ、お姉さま…………お姉さま?』
「………………彼女は」
『え?』
「彼女は、死んでしまったのでしょうか。私のせいで」

 どこか呆然としたように、セシリアは地球を見つめ続ける。
 あちらから仕掛けてきたとはいえ、セシリアは確かに彼女の生の感情を感じた。ぶつかり合って、競り合って、ひたすら目的の為に邁進する彼女の意志を感じた。その意志を摘み取ってしまったのは、果たして自分なのだろうか。

 どこかから飛来したあの閃光のせいだと言うのは簡単だ。だが、そんなありきたりな逃げ道に飛びつくことを自分に許すほどセシリアという女は賢しくなかった。

『彼女?………あのテロリスト、女だったのか?まぁ、アレは自滅みたいなものだろ。お嬢様が悪い訳じゃない……気にするなとは言えないが、割り切れ』
「言葉だけで割りきれるほど、私は大人ではありません……」
『お姉さまはお優しいですね………ですが、つららは敢えて言います』

 通信機越しに、大きく息を吸い込む音が聞こえた。

『あの方が大気圏に突入した時、つららは「あれがお姉さまでなくてよかった」と思いました。お姉さまはそのような、どちらかが消えてしまうような戦いをしていたのです』
「他の命を刈ることで得られる命……理屈は分かります」
『しょうがなかったんです……それに、反応が消えたからって必ず死んだとも限りません。ともかく、今は地上に戻ってこれからの事を考えましょう』

 つららの言葉に、セシリアは頷く他なかった。
 生命体は、多かれ少なかれ他の命を犠牲にして成り立っている。むしろ殺生に優劣をつける人間こそがこの地球では異常なのだろう。だから、セシリアが生き残って『アニマス』が消えるのは、自然の摂理の内に入るのだ。
 分かっている、それは。
 分かっているが――それは重力に縛られた考えだ。

「彼女は、解り合えない存在ではなかった気がする………そんな気が、するのに」

 拳を強く握りしめながら、セシリアは地球を見た。
 あの瞬間に感じた、人の命の重さを考慮しない「殺意のない殺人意識」の在り処を探すことは、出来なかった。




「任務成功〜〜!!にひひひっ、見てた見てたぁ?今の狙撃!!狙った獲物は例え成層圏を越えたって逃さない!……ね、ね。何か格好良くない?」
『はいはい格好いい格好いい。それは分かったから早く本部に戻りなよ。風邪ひくよ?おフロ沸かして待ってるよ!』
「はぁ〜い!あ、それとお風呂は泡風呂を要求しま〜っす!!」

 少女は、山頂で構えていた大きなライフルを量子化して仕舞い込み、鼻歌交じりに二歩、三歩と歩いて雪上から跳躍し、やがてその場所から見えなくなった。地面にはまるでビッグフットの足跡のような大きな跡が
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