後編
7.最後の客
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う……」
「ハルさん?」
ミアの優しいねこぱんちの感触が胸を優しく駆け抜け、我慢していた俺の心を決壊させた。
「うう……うあああ……みんな……みんなぁ……」
「にゃー……」
「ハルさん……」
ちくしょう……なんでこんな終わり方なんだ……俺の今までの人生の中で1番輝いてた時間のはずなのに……なんでこんな終わり方なんだ……
俺があの場所を離れるときは、もっと優しさに満ち溢れた瞬間になるはずだったのに……バーバーちょもらんまが閉店するときは、きっと『寂しくなるねー』『でもまた鎮守府においでよ』『ハル、元気で!!』と笑顔に溢れたみんなに見守られ、優しく祝福された瞬間になるはずだろう……断じてこんな……こんな絶望に塗れた終わり方になるだなんて認めたくなかった。
「みんな……ごめん……俺だけ逃げて……」
「にゃ……」
「提督さん……隼鷹……加古……北上ぃ……どうか……どうか無事で……」
ミアが俺の顔に頬ずりしてくれた。そのぬくもりは俺を元気づけ、励まそうとしているように感じた。
あの場にみんなを残してしまった後悔が、ここに来て爆発した。みんなを強引に連れて来ればよかった……提督さんのお願いを無視してあの場に残ればよかった……みんなに守られるだけじゃなくて、俺も店を守ればよかった……みんなと一緒に楽しく過ごす毎日を守ればよかった……みんなの隣にいればよかった。
球磨が隣にいない……それがこんなにも心細くて寒いと思わなかった。あの時……別れ間際の時、強引に連れて来ればよかった。もしくは、強引にあの場に残ればよかった。……どっちでもいい。みんなと一緒にいられるのなら……球磨の隣にいられるのなら、それでよかった。
「球磨……球磨ぁ……!!」
……だが、どれだけ後悔してももう遅い。俺はみんなを置いて逃げてしまった。俺の鎮守府の生活は終わってしまった。楽しい日々は思い出になってしまった。球磨の隣から離れてしまった。
だからせめて……せめてみんな生き延びてくれ。暁ちゃんやビス子、川内のように俺の前からいなくならないでくれ。生き延びて、また俺に元気な姿を見せてくれ。俺に髪を切らせてくれ。『足の裏がかゆい』と言って俺を困らせてくれみんな……。
球磨、絶対に生き延びて俺の隣に帰ってきてくれ。腹パンしてもいい。アホ毛が切れなくてもいい。霧吹きも許す。だから俺の元に戻ってきてくれ。俺の隣からいなくならないでくれ。俺と一緒にいてくれ。ずっと一緒にいさせてくれ。さっきの続きをさせてくれ。
「ちくしょう……なんでだ……なんでこんな終わり方なんだ……!!」
「ハルさん……」
「戻ってこいよ……!! みんな戻れ……つまんねーよ……一人だと寒いんだよ……」
「にゃ……」
「こいよ球磨……寒いよ
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