第二十四話 出会いその五
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「小さいってことも」
「そんなこと言ったら案内してあげないわよ」
本当に失礼な子です。私は先輩なのに。天理高校は上下関係厳しい学校ですけれど何でこんな子が入って来たんでしょうか。
「それでもいいの?」
「あっ、それは困りますけれど」
「じゃあ黙って来なさい。いいわね」
「はい。それじゃあ」
「あっ、ちっち」
私がこの子、阿波野君を案内しようとするとそれまで一緒にいた娘が私に言ってきました。
「何?」
「その子、ええと」
「阿波野です」
自分から名乗りました。この子の方から。
「阿波野新一です、宜しく御願いします」
「そう、阿波野君案内してあげるのね」
「だって。本当に何処に何があるのかわからないみたいだから」
放っておけません。凄く失礼な子ですけれど。
「案内してあげるわ」
「そう。じゃあまたね」
「ええ、また」
別れを告げたところで横から。その阿波野君が私に言ってきました。
「それで先輩」
「何?」
「はじめてのデートですけれどね」
「デートって何がよっ」
いきなり怒ってしまいました。案内してあげるだけなのにデートって。どういう超絶解釈したらそうなるんでしょうか。本当にとんでもない子です。
「私はね、ただ貴方を教室に案内してあげるだけで」
「だって男の子と女の子が一緒に並んで歩くじゃないですか」
「まあそれはそうだけれど」
「だったらデートですよ」
にこりと笑って言うのでした。
「それで」
「凄い解釈するわね、本当に」
「いや、普通ですよ」
「普通じゃないわよ」
何でこんな子と会ったんでしょうか。今凄いふそく覚えています。
「一緒に歩いてるだけでデートなんてね」
「イタリアじゃそうですけれど」
「イタリア人に謝りなさいっ」
初対面の子にこんなに怒ったことって本当にはじめてですけれどそれでも怒らずにはいられませんでした。何処までいい加減なんでしょう。
「そんなふうに言って。本当に怒るわよ」
「怒った顔もってやつですか?」
「いい加減にしなさいっ」
「まあまあ」
「まあまあって阿波野君が悪いんでしょっ」
「それはそうと先輩」
また急に話を変えてきました。
「何よ」
「僕の教室ですけれど」
このことを言ってきました。
「何処なんですか?それで」
「あっ、それは」
言われてやっと思い出しました。実は今まで奇麗に忘れていました。
「だからこの校舎よ」
丁度今目の前に大きな木造の入り口が見えています。天理高校は広くて校舎も幾つかありますけれど本校舎は一つです。三階建てで四角くて真ん中を取り囲むようにして建てられています。屋根は瓦でそれがトレードマークにもなっています。かなり独特の校舎です。
「ここの二階でね」
「一階じゃないんですか
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