巻ノ三十三 追撃その二
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「鉄砲か、今度は」
「何じゃ、何処から撃って来た」
「真田の攻撃か」
「この霧の中で撃つか」
「おお、小助の奴流石じゃな」
門の上でだ、鉄砲の音を聴きながらだった。海野は笑って言った。
「見えぬというのに見事に当てておるな」
「気配じゃな」
何故当てられるかをだ、由利が言った。
「敵の気配を察してな」
「それでじゃな」
「それは我等とて同じであろう」
「うむ、才蔵の霧は全てを隠す」
海野もそのことを知っているので言う。
「こうしてな」
「そうじゃ、わしも見えぬ」
「わしもじゃ、しかしわかるな」
「うむ、目では見えぬがな」
それでもというのだった。
「はっきりとわかるわ」
「うむ、これ以上はまでにな」
「気を感じるわ」
「そうであろう、何処に何人いるかな」
「その者の体格もわかるわ」
「だからじゃ、あ奴も当てられるのじゃ」
「そういうことじゃな、ではな」
海野はここでだ、懐から苦無を出して由利に言った。
「わし等も仕掛けるぞ」
「無論そのつもりじゃ」
由利もだ、その手にだった。
彼の得物である鎖鎌を出してだ、そしてだった。
海野は苦無を投げ由利は鎖鎌の分銅の部分を投げて下にいる徳川の兵達を攻めた。鎖は普通の鎖鎌のそれより遥かに長く。
門の遥か下にいる徳川の兵達の額や喉を打ってだ、次々に倒していった。海野の苦無も同じ様に倒していた。
霧隠は櫓から出てだった、海野の隣から手裏剣を投げ敵を倒していた。これに門のところに来た鳥居も驚いて言った。
「何と、この霧だけでなく」
「はい、そうですな」
「敵が攻めてきました」
「この霧の中で、です」
「敵が次々と攻めてきております」
「くっ、しかしじゃ」
それでもとだ、鳥居は言うのだった。
「臆するな、霧は必ず晴れる」
「その時まではですか」
「ここは」
「この場に踏み止まりじゃ」
そしてというのだ。
「攻める用意をせよ、よいな」
「は、はい」
「わかりました」
「集まるのじゃ」
鳥居は兵達にこうも命じた。
「一人一人でおるから狙われる、ここはな」
「はい、集まり」
「そのうえで」
「門を目指せ、既に門の場所はわかっておるわ」
こう言ってだ、彼自身兵達と共に集まった。だが彼はそれが出来たが霧があまりにも深い為にであった。
多くの兵達はお互いが見えずその霧の中で右往左往するだけだった。そしてその霧の中においてだ。
猿飛が清海にだ、門の入口に降り立ったうえで問うた。
「用意はよいな」
「腕が鳴って仕方がないわ」
清海は猿飛に明るい笑顔で答えた。
「では暴れるか」
「うむ、思う存分な」
「御主はまさに猿の様に暴れ」
「御主は花和尚じゃな」
「そうして暴れるか」
「
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