第38話
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達も戦慄している。
呂奉先、彼女こそが袁紹軍が誇る規格外にして武の化身。
「うせやろ?」
目を疑う光景に張遼が呟く、言葉が変なのはそれだけ動揺している証だろう。
「敵、此方に意を解さず突っ込んできます!」
「無陣形か――ならやることは変わらん、弓隊構え!」
自分達の配置を見れば待ち構えている事くらい安易に想像できる。
それを確認した敵軍の行動は、無謀な事に突撃であった。
ただの猪突猛進なのか、それとも策があるのか。
『射てぇッッ!』
華雄と張遼の声が重なり、阿吽の呼吸で両軍から矢が放たれる。
暫く上空へと進んだ矢は重力に従い降下、吸い込まれるように敵に降り注いだ。
「す、凄い……!」
矢を放った兵士の一人が言葉を洩らす、無理も無い。
両軍から放たれた矢は万を越える、それが敵軍に飛来したのだ。最早矢の雨では生ぬるい。
余り矢の多さに敵軍が見えない、その光景は文字通り矢の嵐。
この後残存する敵に騎馬隊で止めを刺す手筈だが……果たして彼らの出番はあるだろうか。
「――ッ! 弓隊構え!!」
「え、……なッ!?」
張遼の切迫した言葉に驚きつつも矢を番え――驚愕した。
敵軍が矢の嵐から出てきたのだ! それも一人や二人では無い!
「て、敵軍の被害は皆無! 落馬した者も見当たりません!!」
「馬鹿な……」
重騎兵、その存在自体新しいものではない。長い歴史の中で似た概念の兵種は生み出されてきた。
重装兵の防御力、騎馬の機動力、両方の長所を組み合わせれば強力騎兵が出来上がる。
しかしそれは机上の空論とされてきた。防御力と機動力、どちらかに傾倒しなければ機能しなかったからだ。
だが目の前の敵はどうだろうか。騎馬隊に劣らぬ機動力、矢の嵐を耐え抜く重装兵に劣らぬ、否、それ以上の防御力。
「恐れながら進言いたします! あの敵に矢は――「通じる!」 ッ!?」
「完全な重装なんて不可能や! 必ず通る箇所が在る、そこを狙うんや!!」
張遼の言葉は当たっている。人馬共に分厚い鉄鎧で覆っている重騎兵にも弱点があった。
間接や鎧の繋ぎ目部分だ。騎兵としての役割も果たすために、そこだけはどうしても装甲を薄くせざるを得ない。
「二射目、射てぇッッ!」
その弱点を袁紹達は良しとしただろうか―――答えは否。
彼らの左手には小楯がある。動きを阻害しないように設計されたそれを使い、致命的な部位に当たる矢を――弾いた。
「なんやそれは……なんやソレはァァッッッッ!!」
溜まらず驚愕と共に怒号の声を上げる。
重装備で矢を弾く事はまだ理解できる。しかし小
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