第38話
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にしてきたか」
虎牢関に配置させた物見達からの敵軍接近を知らせる合図。水関を制圧した後なら早すぎる。
「……妙だ、役目を終えた物見達が下がらない」
「なんやて?」
連合軍が進軍を優先してきたなら、十中八九虎牢関を突破する為の衝車を持ってくるはず。
そうなれば確実に虎牢関は抜かれる。だからこそ、物見を任せた者達には速やかに退却するようにと話てあるのだが――
「下がる必要が無い、敵は来るが衝車は無いという事か?」
「んなアホな、けど確かめるにも時間が無い。ここは予定通り配置に付いたほうがええで」
「ああ、そうしよう」
洛陽を背に華雄軍は右翼、張遼軍は左翼に配置されている。その中腹で会話していた両名は、自軍の指揮に戻ろうと踵を返した。
「華雄! 約束忘れんなや!!」
「お前もな!!」
約束――それはこの戦が終わった後、二人でどちらが最強か決しようというもの。
各地から成る連合軍を退けることに成功すれば、この二人は誰もが認める中華最強の武将となる。
だが二人で最強では締りが悪い。そこで――連合に勝利した後に一騎打ち、真の中華最強を決めようというのだ。
この約束には二つ、前提となる条件がある。
一つは連合に勝利する事、そして二つ目は――生き残る事だ。
今から死地で戦う二人、安易に『死ぬな』とは言えない。
この約束はそんな武人の性質が生み出した、互いの無事を願う祈りでもあった。
瞬間、自軍の中核に戻った二人の耳を轟音が襲う。
「なんだ!?」
音の出所に目を向けた両軍はそのまま目を見開く、彼らの目線の先では――虎牢関の門が粉々に吹き飛ばされていた。
この世界には規格外な人物が存在する。例を挙げるとすれば李典だろう、時代錯誤な自動衝車なる物を作り上げ。
原作では用途を聞いただけでカメラさえも作ってのける、彼女は正しく規格外だ。
そしてその規格外は袁紹軍にも居る。彼女は李典のような技術が有るわけではない、どこぞの迷族のような未来知識が有るわけでもない。
では何が規格外なのだろうか―――武だ。英傑が数多存在するこの大陸の中で、彼女の武力だけは突出している。
「門……壊れた」
正しくは壊したである。
「流石ですぞ呂布殿ぉーー!」
音々音の賞賛を皮切りに、騎馬隊の面々からも『お見事』と言葉が上がる。
虎牢関の上で衝車の存在が無く油断していた物見達は、顎が外れんばかりに口を開き惚けていた。
物見達の反応は正常である。衝車の十数撃を持って破壊した関門を、矛の一振りでやってのける人間が居るなど誰が思うだろうか。
その証拠に、恋の規格外に慣れている隊の者
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