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恋姫†袁紹♂伝
第38話
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だと気付けないだろう。

「フッフッフッ、見ましたか呂布殿! 曹操軍は我ら重騎隊に目を丸くしていましたぞ!!」
 
「……」

 その隊を率いるは袁紹軍最高戦力、呂奉先。専属軍師である音々音と共に虎牢関へと向かう。








 場所は変わり虎牢関、その門を超えた先の平地に華雄と、()()の両軍が布陣していた。

 華雄から戦の仔細を受け取った賈駆は、虎牢関を一時的に諦める策を考えた。
 水関を陥落させた曹操軍は、神速の用兵術を持ち味にして最大の武器としている。
 その軍勢が虎牢関で建て直しを図ろうとする自分達を、見逃すとは到底思えない。
 水関の制圧を後回しにしてでも虎牢関を攻め立てるはず、そしてそうなれば――

 自軍に手立ては無い。
 故にあえて虎牢関を諦める。衝車を止める術、時間がないなら固執した所で結果は同じだ。
 それよりもその後、虎牢関を抜けた連合に対して策を立てたほうがマシである。

 賈駆の策、それは単純にして効果的なものだ。
 虎牢関を通る連合に、陣形を整える間を与えず攻撃する。
 門を通る人数には限りがある、そして大軍であればあるほど陣形を整えるのに時間を有する。
 その大軍に向かって二軍の弓隊で一斉掃射、機を見て騎馬隊で止めを刺す。
 単純にこれを繰り返すだけ。

 たとえ無陣形で突撃した所で、董卓軍が誇る二軍の餌食になるだけである。
 そうして連合軍の進入を迎撃し続け、日暮れと共に退却させ。
 夜の内に虎牢関の守りを固めようという段取りだ。

「すまんな華雄、ウチが水関に合流さえしていれば――」

「二軍であたった所で、あの衝車を止められたとは思えん。
 お前が気に病む必要は無い」

「……」

 不器用ながらも気を使った言葉に張遼は目を丸くする。
 一昔前の華雄なら、皮肉の一つや二つ言い放っていたはずだ。
 敗北から心機一転した事は知っているが、これではまるで別人である。

「そんな事より霞、そちらは大丈夫なのか? 迂回路の敵を撃退したという報告は受けていないが」

「そうなんよ! あいつら二日目以降消極的やねん」

「では、孫策軍は健在か」

「ほんますまんなぁ……けどウチの副将と兵を残してきたし、数日は大丈夫なはずや」

 迂回路の戦は二日目以降停滞していた。賈駆や張遼の策を警戒する孫策軍、孫策軍の反撃を警戒する張遼。
 両軍が守りに集中していたため小規模な戦闘しか起こらず、孫策軍の進軍を阻む事に成功しているが撃退まではいかなかった。
 そこへ賈駆の指示で水関を抜かれたという報が入り、華雄と合流したのだ。

「――霞」

「合図の旗が振られたな、賈駆っちの予想通り水関の制圧を後回し
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