暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
後編
6.カウントダウン
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「ハル、この前はうまい日本酒をありがとう。隼鷹と共に堪能させてもらった」

 ハロウィンの日から一週間ほどたった今日、俺は執務室に呼ばれ、提督さんからそう言われて頭を下げられた。

「いやいや、いつか提督さんにもお礼をしたいって俺思ってて。んで隼鷹も喜んでくれるものというと、やっぱ酒かなぁと思ったんですよ」
「おかげで隼鷹も喜んでたぞ」
「ならよかったです」

 加古や川内、北上とは違い、球磨とビス子、そして隼鷹は食い物をプレゼントしている。球磨とビス子は、他のみんなにも自分のプレゼントのおすそ分けをしていた。球磨に上げた鮭児は提督さんに料理してもらい皆に振る舞われた。朝は塩焼き、夜には石狩鍋。その日の夜食に鮭茶漬け……と鮭尽くしの一日を堪能させてもらえた。おかげで『体中から鮭の匂いがぷんぷんするクマ』とは、一番うまい部位を優先的に食わせてもらってた球磨の弁だ。

 一方のビス子も、ド○イマ○スターのチョコレートを他のみんなにおすそ分けしていた。『このチョコはわが祖国ドイツが誇る珠玉のチョコなのよ』というビス子の言葉通り、確かに絶品のチョコだった。普段あまりチョコを食わない俺でも、そこいらのチョコとは比べ物にならないうまさだと言うのは感じた。

 隼鷹は、他のみんなには自身の磯○慢をおすそ分けすることはなく、提督さんと静かに楽しんだらしい。あの晩、隼鷹はそそくさといなくなっていた。俺の部屋から提督さんの待つ執務室に直行して、二人で楽しんだのかも知れない。昨日も飲んだということは、かっぱかっぱ飲むような事はせず、二人で静かにじっくり楽しんでいるようだ。

「昨日も飲んだんですか?」
「ああ。昨日はつまみも趣向を凝らしてな。絶品だったよ」
「つまみは何だったんですか?」
「この前、球磨の鮭児をさばいたろ? その時に余った部位を使って塩辛作っといたんだ。あとでハルにも渡すよ。球磨と食べるといい」
「ありがとうございます。提督さんお手製の塩辛ならうまそうだ」
「いい酒といい肴……素晴らしい夜景……隣には惚れた女……幸せだった」

 そう言いながら、提督さんが恍惚の表情で目を閉じ、昨晩の思い出を反芻していた。気持ちは分かるがけど、そういうことは一人の時にやって欲しいっす提督さん。

「いやー……だって……旨い酒飲みながらマイスイートハニー隼鷹と共に月を眺め、波の音に包まれる幸せ……ああ……」
「提督さん、そろそろ幸せの反芻はやめましょうよ」
「む……そうだな。とにかくありがとう。うれしいサプライズだった」
「いやいやこちらこそ。パンプキンパイ、絶品でした」

 俺は、あの日食った提督さんのパンプキンパイを思い出し、その味を反芻した。あの日の晩、妖怪アホ毛女とともに堪能した提督さんのパンプキンパイ……うまい食い物を
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