八話、エクスカリバーァァァァァァァ!!!!A
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デクタ・テイン、もといデクタ・テインの分身とオーフィスが接触する半刻前――
それは唐突だった。
運が良かったとしか言いようがない。それはきっと神様が与えてくれた一つの奇跡だった違いない。
俺は運良く気付いたのだ。
暗いストリートをゆらゆらと迫る気配を。俺は感知した途端、理解した。
嫌な予感はしていた。見たくない。早くこの場から逃げたい。だが、理解しなければなならなかった。
俺は聖剣の因子を自身の血液から通じて、身体強化を行う。
人間の限界を超えて、更に高密度に精巧なまでに強化されたその視力は、そのまだ見ぬ気配を、明確な情報としてはデクタの脳に伝えてくれるはずだ。
「………ッ!!!」
冷や汗がブワッと吹き出す。
オーフィスがいた。
無限がいた。
あの化け物がストリートをトコトコと歩いていた。
暗い夜道と電灯の灯りを背景に、無感情と異常なまでの気配を感じさせていた。
そもそもオーフィスとは、デクタ・テインが知る限り、この世界、つまり原作の中でボスクラスに位置するんじゃね?と思わせるキャラクターだった。
原作自体は、もちろんの事だが、その原作というのを全て読み通し訳では無い。だが、デクタ自身が読んだその原作の一部分と、自分が今立っているこの現実世界の情報を用いたことで、ほぼほぼどんな存在なのかは、理解しているつもりだ。
と言うかあのアザゼルに教えてもらっている。
結論を言うと、関わってはいけないキャラクターなのだ。圧倒的な力。無限、夢幻と恐れられるドラゴン。当然そんな末恐ろしいものに関わるつもりは無い。
故にデクタは―――逃げた。それも全速前進で。
走る。駆ける。
地面を抉り、風のように駆け抜け、全身の力をフル活用し、疾走する。その速さは、デクタが持っている聖剣――天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》の特性である超速の名を体現しているようだった。
(クソっ! 何であんな奴がいるんだよッ!! あとフラグ回収乙ッ!!)
デクタは声に出したくても、何とか内心で留まらせる。
怒りと混乱を、自分の自制心で押さえ込むしかないこの状況に、歯がゆい。
ある程度話しても安全な圏内までに到達すると中二聖剣が口を開く。
『勇者ッ!! 何故逃げるのだ!? 先程あのヴァーリという輩に侮辱されたばかりではないかッ!!』
騒ぐ中二聖剣。
聖剣の言葉通りだった。デクタはただ走っているのではない。逃げているのだ。現実逃避。生きる為の行動。
「うるせっ!! 死ぬと分かっていてわざわざ行く馬鹿がいるかよ」
『ぐぬぬ……。我としては戦いたいッ!! 無限と言われたオーフィスと戦って、奴の混沌の闇でカッコよく散りたい。
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