9部分:第九章
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第九章
「地球文化を伝えてくれ」
「わかりました。それでは」
「実は私もやってみた」
上司は真面目な顔でグリーザにだ。こう言ってきた。
「妻にメイド服を着せてみたのだが」
「奥方にですか」
「中々いいな」
頬を赤らめさせて言う上司だった。
「久し振りに夜燃えたぞ」
「左様ですか」
「病みつきになるな。他の衣装もあるのだな」
「他にはバニーガールやチャイナドレス、アオザイ等もあります」
「全て送ってくれ」
目をぎらぎらとさせて言う上司だった。
「これからな」
「わかりました。それではそうしたものを」
「地球の文化は実に素晴らしい」
上司の目は輝いていた。
「これからも知っていき取り入れていきたいものだな」
「全くです。ではこれからも」
「色々と伝えてくれ」
こうした話をしてからだ。グリーザはさらにだった。
地球文化を学んでいく。目的は何時しかそうなっていた。
そしてだ。この日も天下茶屋の商店街にいてだ。中華料理店で店のおっさんと話をしていた。
叉焼麺に餃子に炒飯、八宝菜を食べビールもある。カウンターでそれ等に舌鼓を打ちつつだ。おっさんにこう言っていたのだった。
「今年もあかんかったなあ阪神」
「そやな。ほんまここぞっていう時に負けるな」
「何でやろな。肝心な時には絶対負けるな」
ビールが入ったグラス片手に言う彼だった。
おっさんはその彼にだ。笑いながら言うのだった。
「それが阪神なんや」
「阪神は負けるんかいな」
「どうでもええ時は勝つんや」
こう言うのである。
「けど肝心な時には絶対に負けるんや」
「今年みたいにかいな」
「思えば南海との御堂筋決戦」
昭和三十九年、東京オリンピックの時の話だ。
「その時も阪神はスタンカに負けてもうたわ」
「二試合連続完封やったな」
グリーザは学んでいた。阪神のあらゆる意味で魅力的な歴史を。
「鶴岡親分が胴上げされた」
「親分が胴上げされたんはよかった」
おっさんは見れば六十程だ。その歳ならば鶴岡やスタンカを知っていても当然だった。
そのおっさんがだ。こう言ったのである。
「けどな。阪神が負けたのはや」
「屈辱的やったな」
「巨人が負けるのはええ」
大阪人らしい言葉だった。実にだ。
「けど阪神が負けるのはあかんわ」
「前は甲子園で胴上げされたんやろ?」
「ロッテにな。華麗に四連敗やった」
「千葉に負けたんやな」
「まあロッテは許せる」
逆に言えば許せない相手もいる。それこそがだった。
「東京のだだっ辛いうどん食うて鱧もよお食わん巨人のええかっこしいに負けるだけはあかん」
「そやな。そう思うわ」
「おっ、兄ちゃん鱧食うねんな」
おっさんはそのことに気付いたのだった。グリー
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