7部分:第七章
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第七章
だがそのことはここでも隠してだ。親父の話を聞くのだった。
「そうですね」
「俺は岡山の生まれなんだよ」
「岡山ですか。兵庫の隣の」
「そこで生まれて。高校卒業してここに来たんだよ」
その大阪にだというのだ。
「就職してな。で、この店でよく飯食ってたらな」
「奥さんとですね」
「ああ、母ちゃんがこの店の娘でな」
笑いながらだ。親父は話していく。
「で、この店を継いだんだよ」
「そうだったんですか」
「最初に就職したのが麺工場でな。実家もうどん屋だったんでな」
「うどんを茹でたりするのはですね」
「得意だったからな。修業には苦労しなかったさ」
親父の歴史だった。岡山から大阪に来ただ。
そしてだった。親父はそこから話すのだった。
「いやあ、大阪は本当にいいよな」
「食べもの以外にもですしね」
「他には何処に行ってるんだ?」
「大阪城にそれに」
さらにだった。彼が通う場所は。
「日本橋よ」
「パソコンか?」
「それも見てメイド喫茶なんかも」
「ああ、あのひらひらした服の女の子が一杯いるところだな」
親父はどうやらメイド喫茶には行ったことがないらしい。それでこう言ったのである。
「俺はああいう格好はどうもな」
「御嫌いですか?」
「おっさんが行く店じゃないだろ」
こう言うのだった。
「だからちょっとな」
「そうなのですか」
「ああ、俺だってコーヒーや紅茶は飲むけれどな」
だがそれでもだというのだ。
「やっぱり落ち着いて飲みたいんだよ。お姉ちゃんを前にしてじゃなくてな」
「そうなんですね」
「まあ否定はしないがな」
それはしないというのだ。
「そういう遊びはな」
「女の子が可愛くて」
「いいってか」
「私は好きです」
楽しげに笑って答える彼だった。
「何度か行っています」
「そうか。色々と満喫してるんだな」
「それに野球もですね」
「何処のファンだ?」
「阪神です」
にこやかな笑みでの言葉だった。
「あのチームを応援しています」
「そうだよ、それでいいんだよ」
まさにそれでいいとだ。親父も満面の笑顔になる。そして言うのだった。
「野球はやっぱり阪神だよ」
「それで野球の後はですね」
「おう、何だ?」
「吉本ですね」
今度はそれだった。
「松竹もいいですけれど」
「わかってるな。見事な通だな」
「落語もいいですね」
日本文化にどんどん親しんでいっている彼だった。
「何か不思議な間が。上手な人にはあって」
「そうだよ、それが落語なんだよ」
「あそこから笑いになる。漫才もですね」
「やすしきよしは知ってるか?」
親父は随分と懐かしい名前を出してきた。
「昔の漫才コンビだけれどな」
「ああ、グラン
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