機動戦艦ナデシコ
1269話
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も火星だと皆普通に使ってたし……俺も元々の夢はコックなんだよな。だからパイロットになるってのは、仕方がないからやっているだけで」
「なら、それはそれでいいんじゃないか? ま、ただ個人的に言わせて貰えば、パイロットってのはそう簡単に兼業出来る程簡単なものじゃない。命に関わってくる以上、訓練も相当に厳しくやる必要があるし、それをやればコックとしては……どうだろうな」
命に関わる、か。
俺の場合は混沌精霊という事もあってその辺の意識が希薄だが、普通のパイロットなら確実にそっち関係に意識を集中した方がいいだろう。
特にエステバリスは小型で装甲も薄い。下手をすれば一撃で撃破される可能性すらある機体だ。
そう考えると、本気で生き残る気があるのならコックとパイロットのどっちかに専念した方がいいと思うが……それを知った上で両方の道を選ぶというのなら、それはそれでテンカワの選択だろう。
「そう思わないか?」
「え?」
通路の先にいた人物に尋ねる。
テンカワはそれに気が付いていなかったのだろう。少し間の抜けた声を上げる。
「いやいや、困りますな。大事なパイロットを悪の道に誘っては」
通路の先にいた人物、プロスペクターはいつものように笑みを浮かべて首を横に振っていた。
手に果物の入った籠を持っているってことは、ヤマダの見舞いにきたのか?
ともあれ全く困っているようには見えないが、それでも言葉を考えるとやっぱり面白くはないのだろう。
「そうか? 実際、テンカワの前でこう言うのはちょっと悪いけど、テンカワの実力は決して高くないぞ? 今回の戦いは怪我とかしていなかったが、純粋な技量で考えればヤマダの方が上なのは間違いないだろ?」
もっとも、そのヤマダも俺への対抗心から実力を十分に発揮出来てはいないのだが。
いや、そもそも今回はそれ以前の問題か。
海上での戦いだというのに、何故か空戦フレームではなく陸戦フレームを装備していたんだから。
「うーん、アクセルさんの仰りたいことは分かりますが、ヤマダさんが怪我をしてしまった以上、暫く出撃は出来ないのですよ? そのうえでテンカワさんまで出撃出来ないとなると、戦力的な問題が……」
「本人にやる気がないのに出撃させても、それこそ損傷を受けるだけだぞ? もし本気で今のテンカワを使うのなら、もっとしっかりと訓練をやる必要があるだろうな。……コックの方を疎かにして」
「それはっ!」
俺の言葉に、テンカワは咄嗟に何かを言おうとする。
いや、何を言おうとしているのかは十分に分かっていた。
そもそもの話、あくまでもテンカワにとってはコックが主でパイロットが従なのだ。
そうである以上、従のパイロットの為にコックの時間を削られるというのは許容出来ないの
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