後編
5.ハッピーハロウィン!!
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けど、今日は空いてるか?」
「哨戒任務はあるけど、午後からなら空いてるクマ」
「よかった」
球磨のスケジュールを確認した後俺は、少し離れた所に座り、箸を器用に使って鮭児の塩焼きを丹念にほぐしてご飯の上に乗せ、ほくほく顔でそれを頬張るビス子にも声をかけた。
「ビス子!」
「んー……鮭の香りがたまらない……あらハル、どうしたの?」
「ビス子は今日の予定は空いてるか?」
「私は今日は一日オフよ?」
「よかった。ならビス子もちょっと付き合ってくれ。行きたいところがある」
「?」
朝食後、球磨が哨戒任務から戻ってくるのを待ってから、俺は球磨とビス子にボートを曳航してもらい、暁ちゃんが轟沈したポイントに連れて行ってもらった。理由はひとつ。俺の大切な仲間だった暁ちゃんにも、ハロウィンのお菓子の代わりのプレゼントを渡すためだ。
「暁にもプレゼントを買ってたのは驚きだクマ!」
「暁ちゃんも大切な仲間だからな。お前たちに買うなら、暁ちゃんにも買わないとって思って」
「アカツキには何をプレゼントするの?」
「一人前のレディーには必要不可欠なものだ」
「?」
「クマ?」
轟沈ポイントに到着した。今日は波も凪で、空は雲ひとつない、いい天気。
暁ちゃんが轟沈した日は、今日のようにいい天気だったことを思い出した。空を見上げれば、眩しいほどに照りつける秋の太陽があった。あの日もこんな風に、暁ちゃんは太陽を見上げていたのだろか……
俺は手荷物の中から、暁ちゃんへのプレゼントである、化粧道具一式を詰めたポーチを取り出した。全部が大人も使える一級品。ファンデーションからチークまでひと通り揃えてある。これらを使ってお化粧すれば、暁ちゃんはナチュラルメイクが美しい一人前のレディーになれるはずだ。
「そっか。アカツキ、一人前のレディーだものね」
「だよな。強いて言えばちゃんとメイクの方法を教えられればよかったけど……せめて道具ぐらいはあげたいと思って」
「……アカツキ、喜んでるわよきっと。なんせレディーの必需品なんだから」
「そうクマね」
「だといいんだが……」
「よかったわねアカツキ。あなた、名実ともに一人前のレディーになれるわよ」
ビス子と球磨に轟沈ポイントを教えてもらい、俺はポーチを静かに海に沈めた。暁ちゃん、ポーチにはお化粧の仕方を書いた紙も入れてある。これでがんばってお化粧して、さらなる一人前のレディーを目指してくれ。
「ハル」
「ん?」
帰り際、ビス子に声をかけられた。ビス子の頭には今日も暁ちゃんの帽子がかぶられている。その帽子のせいかどうかはわからないが、ビス子の笑顔は時々暁ちゃんそっくりに見えることもあった。
「ありがと。私たちだけじゃなくて、アカツキのことも考えて
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