107章 信也と裕子、愛について語り合う
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ちゃん。星空見て、泣いちゃったの!」
「うそだよ。そんなことないよ。深夜はまだ寒くって、
それで、涙腺が緩むんだよ。あっはは」
「あっ、しんちゃん、きっと、本当に、涙出ちゃったのよ。あああっ。うっふふ」
「ま、そう言いうことにしておこう。あっはは。
深夜に、カラフルなネオンに誘われて、行きつけのバー(BAR)に入ったんだ。
そのバーのマスターは、アメリカが好きで、陽気で楽しい人なんですよ。あっはは。
実は、おれ、昨夜は、君のことばかりを考えていいたんですよ」
「本当に!しんちゃん。それだったら、わたし、うれしい。
あそうか、それで、星空見て、わたしを思って、泣いてくれたのね。うれしいわ!うっふふ」
「うん。まあ、そういうことにしておきますよ。おれも、裕子ちゃんのことは、大好きなんですから」
「ありがとう、わたしも、しんちゃんことが大好きです」
「でもね、裕子ちゃん。おれ、それだからって、どうしたらいいのか、わからないんですよ。
人が人を好きになるとかの、愛って、何なのだろうとか、
どうしたらいいのだろうとか、考えだしたら、何が正解なのか、わからなくなるんですよ。
おれの考えている、愛とかが、わからなくなっていくんですよ。裕子ちゃん」
「しんちゃんは、まじめなのよ。いい加減な人なら、
衝動的に、浮気なんて平気でするものよ。そして、
動物的な本能なんだから、しょうがないとか言って、自己正当化するのよ」
「おれだって、裕子ちゃんのことは好きだから、そんな気持ちになることもあるよ。
でも、それじゃあ、自分の考えている愛だとかが、その場だけの、
自分の都合で、ころころと変わっていく、筋道の通っていない、
めちゃくちゃな、矛盾したものになってしまうんですよ。」
「しんちゃんは、まじめなのよ。それがまた、しんちゃんのステキなところだけど。
簡単に『愛している』とかって言われても、わたしは信じられないもん。うっふふ」
「あっはは、そうだよね。愛とか、そのほかの言葉でも、
簡単に大切な言葉を、人は口にするけど、
なかなか、その言葉を信用できない、
なぜか、そんな世の中になってしまっているよね。あっはは。
でも、それにしても、人を好きになるって、時には辛くなることもあるんだね、裕子ちゃん」
「そうよね。でも、愛って、それが、本当のもので、美しいものなら、辛くても、
きっと、幸せなのよ。ねえ、しんちゃん」
「そうだね。おれは、裕子ちゃんの幸せを、いつも願っているよ」
「わたしも、しんちゃんの幸せをいつも願っているわ」
信也と裕子は、澄んだ瞳で、微笑み合った。
≪つづく≫ -
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