4部分:第四章
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だ。王妃は喝采を浴び王は嘲笑された。死んでも尚不人気な王だった。生前の悪事の報いは充分に受けていると言うべきだろうか。そのことについてだ
暫くして何度もそうした幽霊達を見たウィリアムがだ。何十回目かの夜勤で詰め所にいる時にだ。こうリチャードに言うのだった。
「何か慣れて。ヘンリー八世陛下も何度も見ましたけれど」
「どうだ、それで」
「何か。全然同情しませんね」
「あれだけのことをされた方だからな」
「はい、それで幽霊になってああなっても」
「俺もだ。何とも思わない」
やはり淡々として答えるリチャードだった。
「こちらからは何もできないこともあるが。それにだ」
「それにですか」
「ああしたことをされた方は好きにはなれない」
表情はない。しかし言葉は出したのである。
「自業自得だと思う。俺も王妃を応援する」
「ですね。それはですね」
「見てほっとしたな、本当に」
こうしたことも言うリチャードだった。
「例え幽霊の話でもな」
ここでようやくだった。ウィリアムはリチャードの笑みを見たのだった。夜のロンドン塔のほんの一幕の話だがウィリアムの心には残る笑みだった。
ロンドン塔 完
2011・11・23
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