機動戦艦ナデシコ
1268話
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るテンカワ。
ガイ? と一瞬戸惑ったが、すぐにそれがヤマダの事を言っているのだと思い出す。
そう言えば魂の名前がどうとか言ってたよな。
俺は完全に覚えやすいヤマダで認識したが。
「ヤマダか。かなりボコボコにやられてたからな。……大体、海上での戦いになるってのに、何だって陸戦フレームで出撃したんだ? それも、テンカワとヤマダの2人共」
「あ……それは……ちょっと急いでいたから、成り行きで」
「……成り行き?」
こういう時にオズマだったら『ノリでほざいてんじゃねぇっ!』とか言って殴るんだろうな。
「いやまぁ、お前やヤマダがどういうつもりでパイロットをやってるのかは分からないが、お遊びでパイロットをやっていれば……死ぬぞ?」
一瞬……ほんの一瞬だけ殺気を出す。
「ひぃっ! ……え? あれ? 今一瞬何か……」
殺気を感じたのは一瞬だった為だろう。テンカワはその一瞬で怯えたような視線を俺の方へと向けるが、すぐに何で自分がそんなに恐怖を感じているのかが分からないといった表情を浮かべる。
そんなテンカワの様子を流し、聞きたかった事を口にする。
「それで、ヤマダは? あの整備班の様子を見れば、死んだ訳じゃないのは確からしいが」
幾らナデシコのクルーでも、人が死んで安堵や嬉しいといった表情を浮かべたりはしないだろう。
「え? あ、ああ……ガイなら元々骨折していた足を更に骨折、それもかなり重傷らしい。他にも腕とか肋とか、何ヶ所も骨折はしてるらしいけど……」
「けど?」
何故か途中で言葉を句切ったテンカワの様子に疑問を覚え、言葉を促す。
そんな俺の言葉に、テンカワは苦笑をしながら言葉を続ける。
「そこまで身体中を骨折しても、背骨とか頭蓋骨とか、命に関わる場所の骨折はなかったんだってさ。それと後遺症が残りやすい腰の骨も骨折はなかったって」
「へぇ。随分としぶといな」
「全く。何であそこまでしぶといんだろうな」
ヤマダに対しての憎まれ口を口にしているのは、やはり重傷ではあっても命に別状がないというのははっきりしているからだろう。
「暑苦しいのを死神も嫌ったんじゃねえのか?」
そんな風に俺とテンカワの話に割り込んできたのは、ウリバタケ。
どこか疲れた表情でいながらも、悲壮感がないのはやっぱりテンカワと同じような理由なんだろう。
「ま、そうだろうな。実際問題ここまで機体を……どころか、コックピットを破壊されて、それでも重傷ながら生きてるってのは凄いな」
「ああ。正直、俺もヤマダの機体が格納庫に戻ってきた時は、もう駄目かと思った。まさか、あの状況でも生きてるなんざ、どこまでも運のいい奴だ。……その運の良さの代わりに、俺達がこれから地獄を見るんだが」
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