三十話:成れの果て
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る。
「ああ、確かにふざけている。だから君に選択の自由をあげよう。
君は2人と4人、どちらを―――切り捨てる?」
救うとは言わない。どちらかを切り捨てるのだ。大の為に小を切り捨てるという行為は大にとっては英断であるが小にとっては悪魔の宣告に過ぎない。それを男は暗に示しながらスバルに問いかけているのである。
だが、そんなことを突如として言われてすぐに返答できるものなど普通は存在しない。もしも居るとすればそれは体と心を切り離して行動できる天性の才を持って生まれてしまった人間だけだろう。
「そんなの…そんなの……あなたは、こんな酷いことをするあなたは何者なんですか!?」
「僕かい? ああ、そう言えば初めにも聞かれていたね。いいだろう、答えてあげよう」
当然答えられずにスバルは怒りの籠った問いかけをぶつける。すると今の今まで感情などともしていなかった男の瞳に憎悪の炎が燃え上がる。その様子に彼女は怒りも忘れて男の瞳を凝視してしまう。
その瞳はまるで自分自身を赦せないようで。その声は己へ向けて呪いの呪詛を吐くかのようで。男は断罪を求めて狂う騎士のような形相をする。そして、少女の願う理想の、その先の姿を、彼は血を吐くように宣告する。全ては少女の願いを否定するために。
「僕はね―――正義の味方の成れの果てだよ」
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