三十話:成れの果て
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いつものように独断で人を探し始めるスバルをティアナは止めようとするがもうガジェットの反応はないので心配はないだろうとゆっくりとその後を追う。だが、その判断は油断であり、間違いであった。
スバルが音の出所である袋小路に差し掛かった時だった。突如として二人を分断させ、スバルを閉じ込めるように水路に道を塞ぐ巨大なシールドが展開される。おまけに念話を封じるジャミング魔法も使用され連絡も取れなくなってしまう。
「ティア! 何が起きたんだろう……」
「やっぱり君は来てしまったんだね。ここに来ないなら特に心配はなかったんだが」
「誰!?」
狭い空間に男性の声が鳴り響く。スバルはその声に警戒してすぐに戦闘態勢を整える。しかし、男はスバルなど相手にもしていないような乾いた笑い声をあげて欠片も動く気配がない。その行動に訝しがりスバルは暗闇の中を目を細めて睨む。
すると徐々に目が慣れて男の全容が明らかになる。浅黒い肌に色素が抜けきった白髪。瞳は何も映していないように死んでいる。しかし、その奥には何者にも負けないような強い意志が見て取れる。
なんとアンバランスな人間なのだろうかと思いながら彼の足元に目を向けたところで息を呑む。そこには四肢を縛られて無造作に転がされている人間が六人いたのだ。とっさに駆け寄ろうとするが男は転がしている人質に銃を向けることでそれを制する。
「おっと、まずはこちらの話を聞いてもらおうか」
「こんなことして、何が目的なんですか!?」
「なに、幾つか君に質問させてもらうだけだよ」
自分を怒りの形相で睨み付けてくるスバルにも特に動じた様子を見せずに男は抑揚のない声で返事をするだけである。それが不気味に思えてスバルは静かに唾を飲み込む。
しかし同時にこの男とどこかで会ったような気もしてきて混乱する。それ以上に何故この男は自分などに興味を持っているのか。いくら考えたところで答えは出てこない。
「じゃあ最初の質問だ。君はどうしてこちら側に来たんだい?」
「え? それはこっちに行くように言われたから……」
「なるほど、なら質問を変えよう。人がいる西側といない東側、君は初めにどちらに向かおうとした?」
鋭い眼光がスバルを射抜き嘘は許さないと物語る。どうしてこのような質問をするのかは分からないがスバルは答えようとしてふと気づく。この男はどうして詳細な情報を知っているのかと。
「待ってください。どうしてあなたがそのことを知っているんですか?」
「答えるまでもないだろう。僕がガジェットをそう動かしたからだ」
「あなたはどうして…ッ!」
「おっと、それが分かったのなら早く答えた方が良い。人質はここにいる人間だけではないからね」
ガジェットを自由に動かせるということは地上に
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