後編
4.返事をしろ(後)
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球磨の身体のぬくもりと感触は、俺にそれ以上の安心と落ち着きをくれた。
「ただいまだクマ」
この数時間の間、一番聞きたかった声で、一番聞きたかったセリフだった。俺は球磨の感触とぬくもりをもっと感じたくて、まだうまく力が入らない両手で、球磨の身体を抱き寄せた。
「……おかえり、妖怪アホ毛女」
「うん。ただいまだクマ」
「アホ毛、残念だったな」
「大丈夫クマ。しばらくすればまた元に戻るクマ」
「そっか……ならよかったな」
「うん」
球磨を抱きしめながら球磨に抱きしめられ、俺は隼鷹のセリフを思い出していた。
――案外、つい素直になっちゃう瞬間が来るのかもね。
意識して素直になったり、決断が迫られるんじゃなくてさ。
これか? これが隼鷹が言ってた、『つい素直になっちゃう瞬間』なのか?
そんなことを考えていたら、北上の呆れたようなセリフが耳に入ってきた。
「なにこれ? 私たちそっちのけ?」
本当はツッコミを入れたいが……今はいい。この妖怪アホ毛女を抱きしめることのほうが大切だから。
俺達がそうして安心しあっている最中、アホ毛がビヨンと再生していた。
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