暁 〜小説投稿サイト〜
黒を纏う聖堂騎士団員
19.二人の関係
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
大きなくしゃみが聞こえました。
誰のものかというとマルチェロです。
そりゃ雪国ですから寒いでしょうね。
今、メディおばさんの家の前に来ています。
まだ建て直されていないようで、黒く焦げた木がたくさんあります。

「さ、寒いな」

「ん?そうか」

クロノスはマルチェロを眺めるだけでなにもしません。
どうやら楽しんでいるようです。
皆さん、こういうのを悪女と言います。
しばらく眺めるクロノスでしたが、マルチェロが凍死する前にあるものを渡しました。
ヌーク草を受けとるマルチェロは首をかしげました。

「口に入れるぞ」

クロノスはマルチェロの意思を無視して口に押し込めました。
あーん、のシーンにしてはかなり過激すぎやしません?
マルチェロ悶絶してますし。
そりゃヌーク草はそのまま食べる者じゃないですから。

「な、なんだこれは!!」

「普通、煎じて食べるんだが。
そんな暇と設備がなかったから。凍死しないだけいいだろ?
エイトから盗んできたんだ」

よい子は真似しないでください。
盗むなら愛や心、娘さんにしましょうね。
物はだめです。マルチェロが怒りますよ。
そして煉獄島送りになります。
当の本人マルチェロは何やら考え込んで、クロノスの自慢盗み話を聞いていません。

(なんだこの緊張感。
ヌーク草とやらを食わされた瞬間に発生したぞ。法皇に即位する際に緊張感などなかった。
いや、今までにないほどの緊張感だ。ヌーク草に何かあるのか。
待て。私が知り得ない感情があるではないか。

・・・これが恋か!!)

誰かツッコメ。
皆さんはわかりますよね。
ヌーク草を食わされ辛い思いをした時のイライラドキドキを、恋と勘違いしたんですよ?
と、いうか法皇に即位するのは仕向けていたんですから緊張しません!!
まあ、恋は勘違いって言いますからいいでしょう。

(と、いうことは私もやはり男か。汚らわしい!!
恋などとうつつをぬかす暇があれば金の少しでも増やしたらどうだ!!
ククールのように一発当てなどあてにならん!!
マイエラ修道院はもう少し金を稼げたのだ!!)

「マルチェロ、どうした。」

「すまん。では探すとしよう。
瓦礫をどかすところからだ」

マルチェロは気を取りなおして作業を始めました。
あるかもわからない資料のために。
クロノスの理由もわからず探してくれています。
女性にやらせるなんてククールならしませんよ。
元々男装僧侶だけあり力はあるので任せられますが、雪の中はキツいでしょう。
さすがのマルチェロも気づきました。

「クロノス、あの洞窟で見ていろ。
私一人で充分だ」

「あの洞窟の中に、この家主の息子がいる。
会いたくない」


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ