6部分:第六章
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第六章
「美味いしそれにインパクトがあってな」
「いいんだな」
「ああ、俺は気に入ったぜ」
「俺もだ」
「俺もだよ」
他の客達もだ。その青年の言葉に続く。
そのうえで他の菓子、シュークリームやアイスクリーム、ケーキ等も食べていってだ。彼等は皆一様にだ。こうクラークに対して言った。
「形はえげつないけれどな」
「美味いってわかったらこの形がまたな」
「美味いな」
「いい感じじゃないか」
「よし、じゃあ正解だな」
クラークは客達の言葉を受けてだ。にやりと笑った。そしてその笑みでだ。
彼は成功を確信した。客達が満面の笑みでその菓子を次々と食べるのを見てだ。勝ったと思ったのである。
そしてその確信はその通りだった。この日からだ。彼の店はこれまで以上に繁盛した。
菓子は飛ぶ様に売れた。大忙しになったが収益は驚く程よくなった。それでだ。
店が閉店してからだ。最後の掃除の中でだ。クラークは満足している顔でエミーに言えたのである。
「よし、このままいけばな」
「アメリカンドリームですね」
「ああ、俺はアメリカ一の菓子屋になるぜ」
「本当に大成功ですよね」
エミーもだ。笑顔でクラークに言う。
「私もチップが増えて」
「エミーちゃんにとってもいいことなんだな」
「彼氏とのデートも楽しんでますよ」
「いいことだな。けれどそうなったのもな」
「あのお店に行ってからですよね」
「あの日本人の店にな」
そのだ。虫の形の菓子を売っている店に行ってからだというのだ。
「全てはそこからはじまったな」
「そうですよね。そういえばですけれど」
「そういえばって?」
「うちのお店蛙とか蛇の形のお菓子ですけれど」
エミーがここで言うのは彼等の店の菓子のことだった。
「それなんですけれど」
「外見はあれだけれど美味いよな」
「いえ、蛙や蛇です」
「それに蜥蜴とかおたまじゃくしかよ」
「蛙って美味しいですよね」
エミーは言った。蛙自体のことをだ。
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