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幻のIS小説のプロットの更なる続き。
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捨て置くように指示し、原作の道へと向かう。釈然としない周囲だが、千冬は「更識の護衛」が真人を守っている事を暗に匂わせて納得する。事実、真人には影の護衛が存在した。
 それは学園2年生のロシア代表候補生「アレーシャ・イリンスキー」。表向きは楯無と犬猿の仲と称されているが、実際には楯無の異母姉妹でありれっきとした更識の人間だ。しかし彼女は使命感に溢れるが故に、以前のテロ発生時は民間人を護るのに精いっぱいで真人への援護が間に合わなかった。その事を悔いていた彼女は学園では風邪で欠席したことにして数名の部下と共に極秘裏に真人を護衛していた。
 真人は殆ど冷静さを失っていた。彼にとって友達とは里親と同じ位に大事な存在。下手をすればその感情は自分の命以上の価値を感じているほどだ。それを誘拐されたと聞いた時、彼は自分が中学時代に住んでいた街へ一直線に向かっていた。
 しかしそれをISを展開して追い付いたアレーシャが静止する。真人はまるで効く耳を持たなかったが、そんな彼の耳が急に冷静さを取り戻される。「仮にそれが敵の仕業だとして、正面から無策に突っ込めばそれだけ無辜の民が血を流す!我々に同じことを繰り返させないでくれッ!!」。真人は迸る感情を抑え込み、友達の為にアレーシャに協力することにした。

 更識の調査能力を活用した結果、達姫が攫われたのはそれこそ今日の朝であることや、攫った相手が近くの街の大型ホテルにいる事を知る。どうやら拉致の瞬間を束に見られていたのは相手にとっても予想外だったのか、警戒は薄かった。アレーシャは相手が人質作戦を取ってくることも考慮して、最初の一撃で人質と誘拐犯を完全に分断する計画を取る。
 作戦は成功、更識の万全のサポートで敵IS操縦者と達姫を分断し、真人は達姫を救いだす。だが彼女に無事かどうかを確かめた真人は、彼女が既に手ひどく痛めつけいる事と声を一切発することが出来ないでいる事に気付く。ISを所有するテロ組織に拉致され、短期間ながら拷問のこうな行為を受けた彼女は精神的ショックから声を失っていたのだ。

 達姫は、いわゆる女子の間でのいじめられっこだった。彼女は家族からも近所からも同級生からも虐げられ、それでも痛い苦しいと叫ぶことが出来ない環境に押し込められて他人に媚びる事しか出来ないでいた。それが真人の友達と出会い、様々な問題にぶつかり、やっと打ち明けることが出来た存在だった。
 彼女は真人が助けてくれたことに感謝しているのだろう。ありがとうと、彼女はそれまでずっと言えなかった言葉を言えるようになっていたのだ。なのに声は出なくて、どれほど頑張っても出なくて、言葉を奪われた達姫は真人の胸の内で泣きじゃくった。
 真人は彼女を更識の別動隊に任せ、そして静かに怒りに支配された。理不尽な現実への怒り――真人が人生で常に燃やし続けていた
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