第九話。千夜一夜夢物語C悪夢
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んなものを見せられたら冷静ではいられない。
俺は______もうすぐ死ぬのか。
「……おにい、ちゃん?」
と、そんなことを考えていた______その時だった。
理亜の隣の部屋。
昔は客間として使われていたその部屋から出てきたのは、パジャマ姿の俺のもう一人の妹、遠山金女だった。女優だった母親の遺伝子を受け継いでいるせいか、前世で最後に見た時よりも急成長していて、かなりの美人さんになっている。
最近成長著しいとある部分なんか特に。一之江やアリアが見たら絶望しそうな程だ。
理亜が買ってきた女物のパジャマを着ているがそのパジャマは、悪い夢でも見たのか、汗でびっしょりと湿っていた。汗で濡れたパジャマからは下着が透けて見えそうで……って、何考えてるんだ俺は??
雑念を振り解き、かなめをよく見れば、その顔色も青白く、目元にはクマが出来ていた。
「……どうしたの?」
「いや、どうしたの何も。お前こそどうしたんだ?
顔色悪いぞ」
「あはは、ちょっと寝付けなくて。大丈夫、横になれば平気だから。
私のことより……今はリアちゃんを見てあげて」
かなめが自分のことより、理亜の心配をしている、だと??
俺に異性が近寄るだけでかつて人殺しをしようとしていたあのかなめが!
______人は成長するものだな。
身体だけでなく、心も。
お兄ちゃん、嬉しいぞ。かなめよ。
「……なんか、凄く失礼な事を言われた気がする。非合理的!」
かなめにジト目をされてしまった。
と、そんなことをしていると。
「……兄さん?」
カチャ、と鍵が外される音が聞こえ、ドアが開かれる。
中からパジャマ姿の理亜が赤い目をして現れた。
「理亜、悲鳴が……」
と言いかけたところで、理亜は俺の体に抱きついてきた。
「り、理亜?」
ぎゅううううう、と背中に回された手が力強く俺を抱き締める。俺の胸に思いっきり顔を押し付けたまま、理亜はぐりぐりと頬を当てる。俺の感触を確かめるみたいに。
「兄さん……」
もう、絶対に離さない。
そういうかのように、力強く抱き締めてくる。
理亜がぎゅううう、と抱き締めるたびに彼女の感触が伝わってくるのだが。
「んもう、お兄ちゃん、デレデレし過ぎ……でも、しょうがないなぁ。今だけ貸してあげる。
それじゃ、私は寝るから。また、ね? お兄ちゃん」
かなめはチラッと理亜の顔を伺うように覗き込むと、自分の部屋に入っていった。
バタンと、部屋のドアが閉まり、廊下に残された俺と理亜。
泣きじゃくる妹のような女の子と二人きり。
この状況______どうしろと?
「兄さん……」
真っ赤な目で俺を見つめる理亜。
彼女の顔を見て。俺は『ああ、そ
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