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101番目の舶ィ語
第八話。千夜一夜夢物語Bハグは嬉し涙と共に……
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「じゃあ、お姉さん。生きてたら『また』ね? バイバイ」

理亜に漆黒の携帯電話。『Dフォン』を渡し、『他人に触れられるのを嫌がる』理由を説明した少女、『ヤシロちゃん』は手を振って消えた。いつの間に? と思う間も無いほど速く、気配や音すらもなく。
気がつくと、辺りの様子が元の世界に戻っていて。
その光景に安心したのも束の間______理亜の体がぐるりと回転し、片膝をついた。

「っ??」

あれは!

たった今まで理亜がいた場所。
そこには見覚えのある真っ白い『手』が地面から伸びていた。





すでに、『ロアの世界』は解除されているのに、白い手が伸びている。俺はその事実を認めたくないが、目の前にその手が伸びているせいか、認めざるを得ない。
何度見ても、やはりそうだ。
あれは______!

『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』、スナオちゃんのロアの能力だ。
それを思い出した途端、チリッと、頭が痛み、霞かかっていたものが何かを思い出す。
俺はついさっきまでスナオちゃんに関する情報を思い出しにくく、なっていた。
夢の世界に入った影響だろうか?
今は全て思い出した。彼女は『少女を攫う』ことで存在を維持する有名なロアだということを。
俺がスナオちゃんのロアの能力に意識を向けている間。
理亜は通りかかった女子生徒に「あの、すみませんっ」と声をかけていた。
しかし、女子生徒は理亜の声がまるで聞こえていないかのように。

「でね、その先輩がとっても面白い人なんっスよ!」

「へえ、陸上部ってOBの人がたまに来てくれるんだね」

理亜の横を通り過ぎてしまう。
その存在に気がついていないかのように。

「私の声が届かない?」

理亜は赤く発光、発熱したDフォンを強く握り締めると、自分の携帯電話を取り出して、連絡を取ろうとした。

「っ??」

だが、白い手はそんな理亜の行動を妨害するかのように、再び理亜に襲いかかる!
視界がぐるりと回転し、体勢を整えた理亜が目にしたのは、今まで理亜がいた場所の壁から白い手が伸びていたことだった。
壁から白い手が伸びる。そんな異常な事態にも関わらず、理亜の横を通行人が何事もないかのように通り過ぎていく。
これも一種の『ロアの世界』なのかもしれない。
誰もいなくなるのではなく、そのままの世界で自分だけが世界から切り離される。
まるで自分が幽霊にでもなったかのような、そんな感覚を覚えそうになる場所。
『当たり前の空間からすらも人を切り離して攫う』、それがスナオちゃんのロアの能力だとしたら?

「手……私を捕まえようとしているのですね?」

ただの人間であるはずの理亜はどうやって切り抜けたのだろうか?

俺の疑問に答えるかのように。
理亜
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