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101番目の舶ィ語
第六話。千夜一夜夢物語@告げられた予兆
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風景が再び変わった。
そこは十二宮中学校の教室。
俺の記憶にはない風景が広がっているので、恐らくここは理亜が過ごしている教室なのだろう。
理亜は確か2年A組だったはずだ。
そんなことを思っていると、キーンコーンカーンコーン、と懐かしいチャイムの音が響く。
チャイムの音は俺が今通っている夜坂学園のものとも、東京武偵高のものとも微妙に違っていた。
学校ごとに違っているのかもしれないな。
ガラッとドアが開いた瞬間に教室の中がザワッと色めき立つ。
教室に入ってきた担任の先生______四条先生______に向けられたものではない。
先生の後ろを、女子生徒が付いて来ていたからだ。
その女の子には見覚えがありまくったが、理亜からしてみるとこの時が初めての接触だったのだろう。その女の子の金髪やドリル頭をマジマジと見つめているのが解る。

「起立、気を付け、礼っ」

ハキハキした声で、メガネをかけた女生徒が号令をかける。
なんとなく、俺のクラスにもいる三枝さんと雰囲気が似ていた。
妹か何かだろうか?

「はい、おはようみんな、今日は転入生を紹介するよ」

四条先生はにこやかにみんなを見渡しながら言うと。
紹介された女生徒は元気良く自己紹介を始めた。

「グッモーニン! おはよう、はじめまして! わたしはスナオ・ミレニアムよっ。パパがニッポン大好きで、スナオな子になりますように、って付けてくれたの。仲良くしてくれたら嬉しいわっ! よろしくね!」

その元気いっぱいな挨拶っぷりにクラス中から好意的な笑みが向けられていた。
緊張を感じさせない人懐こさが可愛いと思われたのかもしれない。
初めて会った人に対するこのノリの良さなどは何処か理子を感じさせるものがある。
この時には既にロアとなっていたのか、それともまだロアではないのか。現段階では解らないが。

「んー……」

と、思っていたらスナオちゃんは何かを物色するかのような目をして、クラス内を見渡していた。
そして、俺……ではなく理亜と目が合ったところで視線を止めて、満面の笑みを浮かべると。次の瞬間。

「私、あの子の隣がいいわ!」

何処かの桃まん武偵を彷彿させるかのような言葉を告げた。

「センセ、いいかしら?」

「……私は別に構いませんよ」

理亜は理亜で、驚きながらもクールな返事をしていたが。
俺は気が気じゃなかった。

スナオ・ミレニアム。
彼女は『夜霞のロッソ・パルデモントゥム(赤マント)』のロア。
可愛い女の子を誘拐して最終的には殺害してしまう、という恐ろしい逸話を持った少女が理亜の前に現れた。
夢の中の出来事。ましてや、過去に起きた出来事とはいえ、俺は気が気じゃなかった。

「うーん、次の席替えまで、だよ」

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