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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 メイドのお仕事
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 オーネストの言う赤とは本来出すはずだったワインが割れてしまったので急遽買い足した安ワインだ。西部産であることは全く説明していないが、西部産だと断言できる何かをオーネストは感じたのだろう。この男、決して知ったかぶりや小さなミスはしない。それがまた嫌なのだが。
 ふと、そう言えば先日に受け取った謎の薬を処分し忘れている事に気付く。ポケットの中に入れたままだったのだが、元々はオーネストに振る舞われるはずだったのだからこの男に渡しても問題なかろう。

「そういえばくそガキ、昨日貴方宛てにこんなものを受け取りました」
「……誰からだ?」
「さあ?名前を聞きませんでしたので」
「料理の腕だけでなく記憶も苦手とは気の毒な奴だ、くそメイド」
「夢も希望も持っていないくそガキに同情される謂れはありませんね、くそガキ」
「言い合いはやめれっちゅーに……で?何なんですかこの液体?オーネスト分かる?」

 アズに急かされたオーネストは小瓶を眺める。薬の類だと判断して『鑑定』のアビリティを使って内容を改めているのだろう。しかし、眺めていたオーネストは次第に呆気にとられた表情に変化していく。

「こいつは………媚薬効果付きの惚れ薬か?裏の裏で出回ってるドギツイ代物だぞ。これ一本飲み干したら向こう一か月は理性が吹っ飛ぶ。末端価格で500万ヴァリスは硬いだろうな……作る阿呆に買う阿呆だ」
「うわぁ………なんか、それをオーネストにプレゼントって時点で言葉に出来ないわ。惚れ薬って話だけど、どういう原理なんだよ?」
「説明するのも馬鹿馬鹿しいが……飲んだ後に最初に知覚した異性に惚れる仕組みだな」

 興味が失せたように小瓶をテーブルの脇に放り出したオーネストは食事を開始した。アズは小瓶を摘まんでイロモノを見るような目線でため息をついている。心底薬の存在理由が理解できないという表情だ。
 なるほど、あの『賞金稼ぎ』達はこれをオーネストに盛って、食べたのを確認して女の仲間を接近させる計画だったのだろう。しかし、『魅了』などオーネストに最も効かない状態異常だろうから計画は完全に企画倒れだ。というか、ミアが作ってリューの運ぶ料理に薬を混入させる隙がない。
 態々計画を停止させるまでもなかったか、と内心でため息をつくなか、アズがポツリと呟く。

「しっかしこれをくれた人は変な人だなー……もしこの場でオーネストが蓋を開けて飲んだりしたら、真っ先に好かれるのはリューさんだよね?いや、或いはリューさんが飲んでたら逆かな?そういうことまで考えて渡そうとしたのかねぇ?」
「…………………」
「…………………」

 リューとオーネストの脳内で、変なイメージが展開される。


『くそメイド……お前は本当に役に嫌な女だ。そんなお前を……俺は好きになってしま
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