外伝 メイドのお仕事
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てしまうリューだった。
= =
「どうしてあの子には厄介な存在しか近寄らないのでしょうか……普通の知り合いを増やしてほしいものです」
「元辻斬りの言う台詞じゃないよね、それ」
はっ!と今しがた気が付いたように目を見張るリューに、シル・フローヴァは微笑ましそうに見つめた。普段はクールでにこりとも笑わないリューだが、時々変なところで抜けているのがどうしようもなく可笑しく思える。料理の腕前が壊滅的なこと然り、こっそりオーネストの将来を憂いていること然り、だ。
仕事終わりの後の自由時間に、シルとリューはよく喋る。大抵は他愛もない会話を続けるだけだが、時々リューはこんな風にオーネストの話を延々とする。その姿は歳の離れた弟を心配しているようなのだが、それを指摘すると苦虫フェイスになるのでシルは敢えて触れない事にしている。
「そんなに心配なんだったら『心配してる』って伝えてあげればいいのに」
「嫌です絶対ありえませんあの子に対して下手に出るなど私の誇りが許しません」
「そこまで言うほど嫌なくせに、オーネストさんは相も変わらず心配なんでしょ?」
「心配してはいけませんかっ!!」
とうとう逆切れしてしまっているが、全然怖くない。というか大目に見ても唯のツンデレだ。
シルは、リューとオーネストの間に何があったのか過去の事は知る由もない。しかし、リューがオーネストの事を心の底から心配しているであろうことは分かる。そうでもなければ、そもそもオーネストに近づくことを拒否する筈だからだ。
「大体あの子はですねぇ、人の想いを知った上で拒否してるんですよ!?よくミアさんと喧嘩してますけど、ミアさんが喧嘩したくなる気持ちがよ〜く分かります!!あの子はこう、相手の言葉の根底にある思いなどを逆算したうえで絶妙に腹の立つような琴線を、こう、つつーっとピンポイントで逆撫でするのが好きなんですよ!!」
最近は口を利くと喧嘩になるからと極力互いに不干渉になってしまったが、昔は特にひどかった。
というか、そもそもこの酒場に来ることになった切っ掛けからして酷いものだ。
オーネストがこの酒場に来たのは、なんと「オッタル耳千切り事件」の直後。虫の息を通り越して何故死んでいないのかが不思議なダメージを負った彼を、ヴェルトールともう一人の女が運び込んできた。確か女の方の名前はキャロラインだっただろうか、あれ以来酒場に来ていないので記憶に自信がない。
とにかく、偶然近かったこの酒場に運び込まれたオーネストはとんでもないことを言いだした。
『ヴェル、トール………』
『おい、喋んなオーネスト!お前、このままくたばったら許さねぇぞ!?』
『うるせぇ、ボケが………ゲフッ!!………内臓に砕けた骨が刺さって、ポ
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