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戦国異伝
第二百四十六話 妖術破りその十二
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「あの者達が何処に逃げたかですが」
「西であろうな」
 信長は鋭い目になって信広に答えた。
「おそらくじゃが」
「西ですか」
「東はもう抑えてある」
 それ故にというのだ。
「都の周りの結界、高野山も比叡山も正し大坂城も置いている」
「それに奴等の本拠だった伊賀も」
「攻めて追い出したからな」
「だからですか」
「もう東はない」
 そこに逃れることはというのだ、魔界衆の者達は。
「上方の結界があり関東にも置いた」
「江戸城を軸とした」
「あれですか」
「うむ、五つの不動尊と神田にじゃ」
 それにとだ、信長は二人の弟に話した。
「日光にも置いたからな」
「関東にあそこまでされたのも」
「それ故でしたか」
「あの者達が入っても満足に動けぬ様、そして今後も東国もまた治められる様にな」
 そこまで考えてだ、信長は江戸城やその周りの寺社を築かせたのだ。
「そうしたのじゃ」
「でしたか」
「その様に」
「後は西じゃ、しかし最後の戦を挑める場所は」
 信長は戦の話もした、魔界衆とのそれも。
「限られておる、山陰山陽もそこまでの場所はなく」
「そして四国もですな」
「何十万もの大軍を動かすには難がありますな」
「九州じゃな」
 そこだとだ、信長は言った。
「若しくはその入口じゃ」
「本州と九州の」
「あそこですか」
「そして海じゃ」
 そこもあるとだ、信長は言った。
「何処かで傷を癒しじゃ」
「そのうえで」
「あの者達は再び戦いを挑んできますか」
「我等に」
「そうしてきますか」
「間違いなくな、だからな」
 それで、とだ。信長はまた言った。
「今は我等も休もう、そしてな」
「敵が出て来れば」
「その時に」
「再び戦う、そして次こそはじゃ」
 まさにだ、次の戦でというのだ。
「あの者達を倒そうぞ」
「はい、それでは」
「そうしましょうぞ」
「魔界衆を倒し」
「完全に滅ぼしましょうぞ」
「必ずな、しかし次の戦も海でも戦うであろう」
 信長はその海も見ていた、今では織田家の水軍と魔界衆の船の残骸達だけが残っている海をだ。
「そこでもな」
「やはりですか」
「海でもですか」
「戦になりますか」
「そちらでも」
「まずは、それでじゃが」
 その海、夕陽で赤く染まっている海を見つつ話した。
「明や南蛮の海賊達もおったな」
「魔界衆の海の軍勢には」
「確かにいました」
「そして倭寇達もな」
 日本の海賊達もというのだ。
「おったな、あの者達は魔界衆ではない」
「では」
 その指摘からだ、信行は言った。
「あの者達も逃げたにしろ」
「魔界衆とは違うからな」
「だからですな」
「姿を消せぬ」
「そういえば魔界衆の中の賊達も」
 信広もここ
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