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真田十勇士
巻ノ三十二 会見その十二
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 弓矢が突き刺さり石と丸太が打ってだった。
 徳川の兵達を次々と倒していく、鉄砲が己のすぐ目の前をかすめ石が足元に落ちたのを見てだった。鳥居は言った。
「ここでか」
「大手門の時よりもです」
「敵が遥かに多いですぞ」
 周りの者達も言う。
「二千はいますか」
「それ程」
「鉄砲も弓矢も多く」
「石や丸太まで出してきますぞ」
「やるか、しかしな」
 それでもとだ、鳥居は言った。
「これも城攻めではあること」
「では、ですな」
「このまま」
「攻めよ、怯むな」
「しかしです」
 侍大将の一人が鳥居に言って来た。
「この状況で石垣を登ることは」
「出来ぬというのか」
「はい」
 こう言うのだった。
「とても」
「確かにな、これではな」 
 鳥居は石垣、そして壁の上を見た。見れば今も鉄砲や弓矢が来ている。鳥居の横を矢が通ったが彼は臆してはいなかった。
 だが彼は臆していなくともだ、軍勢はだった。
「とてもな」
「登ることはですな」
「出来ぬな」
 鳥居もこう言わざるを得なかった。
「とてもな」
「ではどうされますか」
「門か」
 鳥居は石垣が駄目ならと言った。
「そこから攻めますか」
「それしかないですな」
「うむ、ではじゃ」
 鳥居はその侍大将の言葉を受けて言った。
「門に行け、そしてじゃ」
「わかりました」
 こう言ってだ、そのうえで。
 徳川家の軍勢はここでだった、門の方に回った。そのうえで攻めようとするが。
 幸村はその彼等を見てだ、十人の家臣達に言った。
「ではな」
「はい、では」
「門の方にはですな」
「我等が向かい」
「そしてですな」
「門に向かった兵達を退けよ」
 こう命じたのだった。
「よいな」
「ではここは、ですな」
「殿がそのまま受け持たれ」
「そして我等は門においてですな」
「あの者達を」
「退けよ」
 こうも言った。
「よいな」
「わかり申した、では」
「門のところはお任せ下さい」
「門には指一本近付けませぬ」
「お任せを」
「ではな」
 幸村は微笑みそうしてだった、彼等を二の丸の門に向かわせた。だが鳥居はそのことを知らずこう言うのだった。
「石垣が駄目ならな」
「門ですな」
「そこから攻めますな」
「そうじゃ、最初からそうすればよかったか」
 こう周りにも言うのだった。
「どうも嫌な予感がして石垣から攻めたが」
「二の丸は、ですな」
「今は」
「しかしそれが逆に裏目に出た」
 そうなったとだ、鳥居は苦々しい顔で言った。
「この様じゃ」
「ですな、では」
「やはりここは正攻法ですな」
「門を攻めましょう」
「あの場を破りましょう」
「うむ、そうして攻めようぞ」
 こう言ってだ、あらた
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