後編
2.合同作戦
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、俺は即答して提督さんをびっくりさせてやろう。
「……もし、辛くなったら……」
「却下です」
提督さんの隣で、隼鷹がコーヒーを吹いていた。心持ち、提督さんの鼻の下が伸び、鼻水が垂れているように見えた。
「む……最後まで言わせろよーこっちは覚悟して言ってるんだから−」
「どうせあれでしょ。『辛くなったら出て行ってくれていいんだぞ』とか言うんでしょ。優しい提督さんのことだ。気を使ったつもりになってるんでしょ。違いますか?」
「む……言い方は気に入らんけど、その通りだ」
「だったら却下です。こんな面白い奴らが揃うところ、出て行く理由がありません」
「……そうか」
そうとも。暁ちゃんが轟沈してからも、店じまいして鎮守府を出て行くなんて考えたことすらない。もしそんなことを考えていたら、提督さんに言われなくても勝手に出て行く。どれだけ止められようとも問答無用で出て行くさ。
でも、不思議とそういう気にならない。ここにいるみんなは楽しい奴らだし、俺に床屋としての初心と床屋として働く喜びを思い出させてくれた、かけがえのない奴らだ。そんなやつらを置いて、俺だけ出て行くなんて出来るわけ無いだろう。
言い方を変えれば、こんな面白いやつらと別れる理由がない。そんなつもりはさらさらないんだ提督さん。
「しかしなハル……自分の命は一つだぞ」
「他にも理由はあります。俺はまだ球磨のアホ毛を切ってない。あいつのアホ毛を切るまでは出て行く気はありません」
これは本当。この鎮守府で、あの妖怪アホ毛女の異様な存在感で自己アピールしているアホ毛を切ってやると亡くなったじい様に誓ってからこっち……俺は今まで何度もチャレンジしては失敗している。そんなアホ毛は、俺の追いかけるべき目標だ。俺は真剣にそのことを話したのだが、提督さんは今一理解しきれなかったようだった。
「ま、まぁ分かった……とりあえず今後もちょくちょくこういうことがあるとは思うが」
「全部却下です」
「ぶふっ……分かった。覚えておくよ」
俺が執務室に顔を出してから、今はじめて提督さんの顔に笑顔が戻った。……いや戻ったというよりは、俺が無理矢理笑わせたのかもしれないが……ともあれ、額にシワをずっと作っている提督さんよりは、今ぐらいゆるーく構えている提督さんの方が、俺は好きだ。
「ぁあ、それから」
「? まだ何か?」
「提督としてハルに礼を言いたい。うちの艦娘、球磨を支えてくれてありがとう。おかげで球磨は、潰れずに済んだ」
「俺は大したことは何も。多分、沈んだあいつの姉妹たちのおかげです」
「……また誰か見たのか?」
「見てはいませんが、多摩と大井っち……それとあと一人、えらく男前なヤツがあいつら姉妹を支えてたんですよ。声が聞こえました」
「
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