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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-38
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そうなんじゃないかないって思ってたら当たっちゃったから」


 二人は気付いている。お互いに進む道は違っていて、その道はいずれ何度も衝突することを。それは避けられないものになりつつある。でも今ならまだ回避できる。でもそれは――――。


「刀奈。俺と一緒に、来ないか?」


 彼女にとって悪魔のささやき同然だった。
 でも、もうすでに答えは決まっていて。それは即ち彼との決別を表していて。けど、やっぱり答えは決まっていてもどこかで、好きな人と一緒にいるのがいいんじゃないかって囁く小悪魔がいて。それでも彼女には立場というものがある。自分は日本を守れる範囲で守る義務がある。だから、だから……。


「そんな悲しい顔しないでよっ!! 蓮だってわかってるでしょ? 私は、更識楯無なのよ……? そんな顔されたら…………私の覚悟が無駄になっちゃうっ」
「……そうか、そうだよな。ごめん、じゃあ、さよならだ」
「謝らないでよ……」
「……ごめん。…………それと、今までありがとう」
「…………っ」


 支えを失ったように崩れた。もう枯れたと思ってた涙がまた出てくる。
 蓮はもう振り返ることもなく刀奈から離れていく。彼女が小さくなって見えなくなる。これで良かったんだと自分に言い聞かせながら歩いていくと前の岩の陰からメカニックなうさ耳が飛び出していた。


「束」
「あ、ばれちゃった―」


 にぱーと笑って蓮の隣まで来て腕をからめる。辛そうにしている蓮とは対照的にニコニコと嬉しそうにしている束。
 二人は何も言わずに歩いていくとIS学園の正面の門の前に来ていた。校舎が威厳よく立っている。


 同時に眺める。心に渦巻く複雑な感情を整理つけるために。全てのことにけりを着けた。立つ鳥跡を濁さず。もう何も、この学び舎に見袰衣蓮と篠ノ之束がいたという記憶は残るが、記録は残らない。束が自慢の腕を使ってくれた。


「れんくん、あれでよかったの?」
「ああ、よかったんだよ。立場がまるで違うんだ。亡国機業最高幹部……いや、事実上のトップと対テロ対策。更識家十七代目当主だ。どちらかが立場を捨てれば、一緒に進むっていう選択肢もあったんだろうけど、それは俺もあいつも拒否した。それじゃあ、あとは敵同士。それでよかったんだ」
「れんくんがそれでいいなら、束さんは何も言わないよ。……もう行こっか」
「ああ」


 こうしてふたりはIS学園から誰にも知られることなく去った。刀奈……いや、楯無はこの事実をだれにも話さなかった。いずれ気づかれるが、まだことを大事にしたくなかった。それに気持ちを整理したかったのだ。


 そしてそのまま夏休みが明ける。ことは誰もが寝静まった夜中に起きてきて既に集束していた。それが千冬や楯無のも
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