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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-38
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孤立していた日々。今でこそIS学園の生徒会長をこなして人気もあるけれど、昔と同じようにどこか寂しさを感じていた。
従者である虚もいるが、どこか遠慮し合っているような気がして。本当の自分をさらけ出せる所なんてないって思ってた。同じ小学校に通っていた御袰衣蓮とは何時の間にか友達になっていて、親友になって。ふと考えたら、胸がきゅっと締め付けられるような思いをして。ああ、これが恋なんだなって思って。ませていた刀奈はそう考えたけど、急に蓮がいなくなったら、しばらくの間学校にも行けなかったりして。勿論これは蓮には言わない内緒の話。
蓮の隣が、蓮だけが本当の自分を出せるところ。そう刀奈は思っている。
「今日は楽しかった。ありがとね」
学園の門限が近づいている夕暮れ時。二人の姿は学園近くの浜辺にあった。ここから歩いて数分のところに門があるからまだ少し時間があった。
刀奈は砂浜に座って、自分の想いを蓮に告げるべきかどうか悩んでいた。
何年も持ってた初恋。こうしてお節介焼きなお姉さんを演じてるけど、本当の私は恋愛に奥手で臆病な私。今もそう。この秘めた思いを伝えたら、今の関係が壊れてしまいそうで。動かないとって思ってるけど、今のままのでもいいじゃんって思ってる自分もいる。
水平線に沈む夕日が影を長く砂浜に伸ばす。二人が腰を下ろして座る距離は少しだけ開いていて、それが今の心の距離だって残酷に見せつけられているような気がして。そう後ろ向きなことばかりを考えていると心の奥がジンジンと痛くて。
言葉にしようとするとドクドクと鼓動がうるさいぐらい響いて。ようやく口を開いても声にならない空気しか漏れない。
段々沈む太陽が私の気持ちを表しているようで、思いを口にしようとしているうちに時間になって、結局告げられずじまいに終わりそうな数分先の未来を暗示しているような気がしてならなかった。
言葉にしたい。でも、このままで居たい。そんな鬩ぎ合う二つの想いで葛藤しているうちに太陽は水平線に沈みきった。途端、涙が止まらなくなる。
「……どうした?」
そうやって優しい声で優しくしてくれる蓮。心配そうに刀奈を見ている。泣き顔なんて恥ずかしくて見せられない。俯いて顔を覆ってしまう刀奈。それでもあふれ出る涙は堰が崩れたように止まることを知らなくて。
ほら、大丈夫かって言って優しく背中をさすってくれる。……もうダメ、感情が抑えられない。
すぐそこにいた蓮に抱きついて、驚く彼をよそに刀奈は自分の想いの丈をブレーキが利かないままぶつける。
「――――好きなのぉっ!! 蓮のことが好きなのっ。優しくしてくれるところも、強いところも、私を引っ張ってくれるところも、全部っ……蓮の全部が好きなのっ!!」
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