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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第11話 誘い
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を押してもらいながら、サソリは時折包帯から目を外して、写輪眼で場所を確認していく。
「そこ!そこの病室だ」
サソリが御坂に指示をだした。
「ここ?入っていいのかしら」
御坂が手を掛けて開けてみると、すんなりと開く。
そこの病室にはレベルアッパーで倒れた意識不明が今でも横たわっている。
サソリの写輪眼には、頭から伸びている光る線を捉えていく。
「ここは何だ?」
「ああー、ここ前に入ったところだわ!確かレベルアッパー使用者かもしれない人たちよ」
「そうか、やはりな」
サソリは、御坂を窓際まで誘導する。
数本の光る線が窓の外に走っている。サソリは窓から顔を出して、学園都市を眺めた。
「もしかしたら、この眼は例のレベルアッパーを使用したヤツが見分けることができるかもしれねえな」
「えっ!?うそ」
「ソイツらからどうも光の線みたいなもんが伸びている、まだ断定は出来んが」
レベルアッパーを使った者を識別できる。
それができるのなら、事件収束も夢ではない。
「そ、それで線はどのくらい?」
「かなりいるな」
サソリは病院の上を見る、おびただしい数の光る糸が束になって上空へと一本の巨大な線となっているのが見えた。
クモの巣のように学園都市の地から天へと伸びる光る線。
フワフワと空中をたなびく様は、安定していない無能力者の精神を象徴するように見えた。
どこか自分だけの居場所を探し求めるかのように天へと細い線を引いている。

******

トラブルに巻き込まれた佐天は、アンチスキルへと連絡したあとに現場から逃げるように歩いていた。
きっと、あのまま居たのでは事件について詳しく聴取を受けるだけだろう。
一目を避けて、肩を落とす。
「サソリは病院に運ばれたけど、白井さんは無事……良かった」
助けに入った白井も心配であるが、病院に運ばれたサソリが気になった。
対応した救急隊員からの「命に別状がない」の一言を聞いて安堵した。
自分独りだけでは、きっとどうしようもできなかった……

サソリが言った最後の言葉を思い出す。
「お前が気づいていないだけじゃねーの?」
気づいていない?
あんなに勉強してネットで「能力」について調べたり、学校で検査もしたりしているのに見つからない自分の能力って何なの?
知っている人だけが上にいく
知らない人はずっと下にいる
この世は、平等ではない気がした。

今回の一件でマジマジと現実を突きつけられる。
能力者の白井さん
非凡さを見せる忍者のサソリ
自分と同じ人間なのにこの差って何だろう?

サソリが言った「気づいていない」という言葉……
あたしはいつ気が付くの?
このまま、ズルズルと学生生活を終えて、歳をとっておばあちゃんになっても自分の能力に気づけなかったら……

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