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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第11話 誘い
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ありがとうね」
「あ?」
「黒子のこと守ってくれたんでしょ……結構無茶するヤツだからいつも心配していたのよ」
「確かに無茶なことをしていたな」
サソリの身を護るために、我が身を盾にサソリに覆いかぶさったことを思い出す。
結果としてサソリが引きずり下ろして、白井が傷つかないで済んだが、サソリもそれは分かった。
「そもそも、どうしてあんな場所に行ったの?」
御坂が少しだけ疑問に思ったことを口に出した。

白井や佐天さんが襲われているということを知り、駆け付けた?
でも、そんな正義の味方をするような性格だったかしら?

「んー、ちょっとチャクラ反応があったからな」
「チャクラって、忍者の術みたいな?」
「そう、もしかしたら見知った忍がいるかと思ったんだが」
見知った忍……!?
御坂も心当たりを探ってみる。
御坂も知っていて、サソリが探している忍者と云えば……
おろちまるちゃん!
御坂はそっと林檎が乗せられた皿をテーブルに置くと、感動に打ち震える。

そうだった!
コイツ、こんな天邪鬼みたいな性格をしているけど
一途で純情だったんだわ
たった少しだけ感じた彼女の反応に駆け付けるなんて、さすがよ!
世の彼氏の鏡よ!

「結局、分からずじまいだが……って何で泣いてんだよ」
御坂が涙を流して感動している仕草を見せた。
「いやー、いい話だなぁっと思ってねえ。久しぶりにお姉さんの心は温かくなったわ」
ハンカチで感動の涙をふく。
「その調子で自分の信じた道を歩みなさい!」
と親指を出して、サソリに向ける。
御坂の脳内にお花畑でスキップをする「サソリ」と「おろちまるちゃん」の姿が浮かんでいる。
幸せになるのよー!
「?」
サソリは疑問符を呈し、少しだけゾクッと身震いした。
1人で素晴らしい純情の恋を想像している御坂を片目に収めながら、サソリは包帯からわずかに透過してくる病院の天井を仰いだ。
「ん!?」
サソリの視界に何か「光る線」のようなものが見えた気がした。
サソリは包帯を取って、片目の写輪眼で光る線の出どころを探すように線をなぞる。
「どうしたの?」
「何か天井にあるな」
御坂もサソリと同じように天井を見るが、あるのは照明とカーテンレールだけだ。
「別に変わったところはないわよ」
「光る線がないか?」
「……見えないわ」
「……ということは写輪眼にしか見えてねえんだな。よっと」
とサソリは少しだけ動く腕を上げて手すりにつかまって、身体を起き上がらせようとするが、まだチャクラが戻っていないらしく力なく握るだけだった。
「おい……オレを移動させろ」
「大丈夫なの?」
「ちょっと確かめたいことがある。早くしろ」
「?」
もう一度天井を見てみるが、ごくごく平凡な病院の一室だ。

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