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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第11話 誘い
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秘伝「写輪眼」の能力。
サソリはどの戦闘よりも泥臭く、血生臭い戦闘をしたことを悔しがった。
自分のプライドが許さなかった。
傀儡があれば、もっとスマートに収めることができただろうか?
一人で考えてしまえば、戦闘の反省点ばかりが頭を過ぎる。
あのときもっと、ああしていれば……ケガが少なかったかもしれない。
もっと油断をしなければ……こんな惨めな姿をさらすことはなかっただろう。
なぜ、少々難しい話と反省点を反復させているのかと言うと……

「ほれ、口開けなさいよ」
まさに今、その弱みを見せてしまっていることであった。
サソリは病室のベッドで横になり、患部を中心に覆うように包帯がグルグルと巻かれている状態で御坂からつまようじに刺した林檎を口元へと持ってこられている。
「ぐうぅぅぅ、屈辱だ……」
悔しそうに歯ぎしりをする。
「動けないんでしょ?ほらほら」
「くそ!」
諦めたように少し口を開けて、林檎を一齧りした。
「全く、とんでもない無茶するものね。動けなくなるまで喧嘩してくるなんて」
「ちっ!アイツから仕掛けてきたんだよ」
シャリシャリと食べ始める。舌打ちの頻度がいつもより二割増しだ。
「それにしてもその眼、どうしたの?カラコンは身体に悪いみたいよ」
「何だよカラコンって」
注 カラーコンタクトレンズの略称です。
サソリの包帯の隙間から紅色の巴紋をした眼が片方だけ出されている。
御坂は横になっているサソリの眼を上から覗きこもうと動いた。
サソリは咄嗟に目を閉じて、御坂を視界に入れないように配慮する。
「写輪眼はあまり見ない方がいいぞ」
「しゃりんがん?」
「ある一族に伝わる秘伝の術かな……なんで開眼したか分からんが」
サソリはゆっくりと腕を眼の部分に持っていくが力なく掴んでずり落とすように包帯で写輪眼を覆い隠した。
「直接見たヤツの精神を崩壊するようなことを仕掛けてくるやつもいるし」
「そんなに危ないの!?」

「それにしてもアイツ……本の角っこで殴りやがって」
サソリは未だにヒリヒリする頭を枕に擦りつけた。
レベルアッパーを使用した事件であるが、表向きにはただの学生による暴行事件として処理されている。
まだ正式に幻想御手(レベルアッパー)の存在を認めていないので学園都市側も通常のありきたりな事件としか考えていなのであろう。
意識を失ったサソリは、通報を受け、運ばれた病院で担当看護師の知るところとなり、少々きつめに包帯を巻かれた後にサソリの頭をチョップするようにカルテをまとめた分厚いファイルの角で殴られた。
「当たり前よ、無許可で外出した挙句血だらけで運ばれてくるんだもの」
サソリに守られた白井も目立った外傷はなく、ジャッジメントとして今回の事件の処理にあたることになった。
「その……
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