第11話 誘い
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写輪眼……特定の一族にしか発現しない特殊な瞳術の一つ。
瞳の中に対称的な幾何学模様を有し、その眼を宿した者は、忍術、幻術、体術などを一瞬で見切り、術や動きを瞬時にコピーするといった芸当が可能となる。
また、その眼を直接見たものには「幻術」や「催眠」を掛けられることがあり、扱いには注意が必要な代物だ。
レベルアッパーを使った犯罪に初めて巻き込まれたサソリは、相手である不良の男の予想外の能力と自身の不調により一時追い詰められた。
しかし、サソリの眼に目覚めた「写輪眼」の能力により勝利を収めることができた。
サソリのいた忍世界にその名を轟かす瞳術使いの一族「うちは」
その「うちは」が忍世界に広く伝わっているのは、この「写輪眼」によるところが大きい。
忍の世界を創設したとされる「六道仙人」の血を受け継ぎ、強力な術や厄介な幻術を得意とする一族の存在に何度も世界のパワーバランスが崩されたことか……
もちろん、サソリは「うちは一族」ではない。
家族関係や親戚筋を思い返してみるが、うちは一族に繋がるような者はいなかった。
サソリがかつて所属していた組織「暁」のメンバーに写輪眼を使う奴がいたのを思い出す。
「うちはイタチ」……その眼に映る紅き紋様を直接見たものの精神を崩壊させることが可能でメンバーの中でも異質な存在だったと記憶している。
一度、手合わせをしたことがあったが、写輪眼の恐るべき殺傷能力を感じた。
特殊な空間に飛ばされて、磔にされた挙句多数のイタチに刀で貫かれる。
現実では、一瞬にも満たない時間であったが……永遠のように感じた。
頭をこびりついて離れない痛みの恐怖が自分を人傀儡に改造する要因の一つになったと思う。
奴は、かつての生まれであるうちは一族を全滅させた過去があった。
意図や策略は一切不明だが。
オレが考えるには、写輪眼の秘密を外部に漏らさないため。
写輪眼は遺伝子により、一部の者に現れる特異体質だ。
それは、死体にも痕跡は残る。
うちは一族の死体が一体でも手に入れば、写輪眼の能力を丸ごと奪うことも可能となる。
しかし、イタチはそれを許さなかったのだろう。
忍にとって家族は弱みになる。
普段冷静に事を運ぶ忍でさえも、身内を人質に取られて自滅した者は多い。
その弱みを消すことは非常に合理的な判断だ。
褒めることをあまりしない、サソリはこのことに関してイタチを称賛した。
忍にとって何が大切か?
それは相手に勝ち、生き残ることだ。
相手に一切弱みを見せず、葬り去る、これが理想。
家族や身内が邪魔なら消す。
将来的に巨大な敵になりうる者ならば、たとえ年端のいかぬ子どもであろうとも手を掛ける。
人間の身体が弱いのなら、解消させる。
人傀儡にだって成ってやる。
予期せず目覚めたうちは
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