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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
外伝黒の修羅 後編(2)
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『ご苦労だったね、周辺警戒は僕たちが行う。そう長い時間はあげられないけど休んでくれ。』
『ああ言葉に甘えさせてもらうぞ甲斐。』

 甲斐の言葉に答える。
 甲斐の部隊が持ってきた各種補給コンテナから瑞鶴への補給が開始される。背面より古いマグネシウム電池がユニットごと排出され、順次入れ替えに未使用の電池パックが搭載される。

 そして、タンカーコンテナから自動で伸びるブームが瑞鶴の腰に備え付けられた燃料口(リセプタクル)に燃料パイプを挿入し燃料の供給が開始される。
 これによって、瑞鶴内部の燃料タンク、そして跳躍ユニットの燃料タンクへと順番に燃料が充填されてゆくのだ。

 マグネシウム電池は交換が一瞬で済むがこの推進剤の補給と蓄電池への充電にはしばし時間を有する。
 それが完了するまでの間にコックピットの荷物入れからゼリー飲料を取り出すと蓋を開け、ストローを口に含む。

 加速Gによる内蔵の筋疲労によって熱を持っていたのか、喉を通り抜ける半液状ゼリーによって腹の熱が一気に冷えてゆくのが心地よい。

「はぁ……甲斐、状況はどうなっている?」
『現状、不気味なくらいに順調だ。ここまで順調だと返って空恐ろしくなる。』

 白の瑞鶴を駆る同僚の言葉に頷く。常に人類の予想を上回る物量による奇襲、それによる戦線瓦解―――それを何度も繰り返してきた中で、今が順調だからと楽観する事なんてできない。

(やれやれ、楽には勝てんな。)

 内心で、文句を垂れながらも口元が笑みが浮かぶのが実感出来た。どうにも、自分はこの危機的な状況をどう乗り越えるのか、というのを楽しんでいる節がある。
 まったく、どうにも人格破綻著しい。

「………ん?甲斐、74式はないのか?」
『すまない、品切れだよ。長刀はどれもこれも現地生産してないからね……』
「ちっ、面倒な。此奴は使いづらいんだぞ。非合理の見掛け倒しの武器何ぞ役に立たん。」

 舌打ちしブツクサ文句を呟きながら補給コンテナに指示を飛ばす忠亮。
 双振り用意していた内の片方は損耗限界ですでに役に立たない。だから補給しようと思っていたのに補給コンテナに入っていたのは統一中華連合の柳葉刀型の長刀だった。

 このトップへビー型長刀を装備すれば左右で重心バランスが崩れる上に、見かけのわりに威力がない。しかも関節への負荷だけでかいわ取り回しも悪いわ最悪の長刀だ。

 総じて、トップへビー型の刀剣は振り回した加速力と重量で割る武器だ。しかし対象への衝突の際にその運動エネルギーの大部分は反作用に逃げてしまうため、見かけのわりに威力がないのだ。

 欧州連合のフォートスレイヤーのように刺突戦法が主流ならば、まだ合理性はある。
 之なんぞ、重いものをぶん回してぶつければ敵を倒せる。とい
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