二十九話:休暇の始まり
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離れていない隊長二人の空気は凍り付いたように冷たくなっていた。新人達はそのことに気づくことなく話を続ける。
「あんたも相変わらず子供っぽい夢を持ってるわよね」
「そうですか? 私はかっこいいと思いますよ、正義の味方」
「僕もです。フェイトさんみたいな人が正義の味方だと思ってます」
本気でスバルが目指しているのは知っているティアナではあるがその素直になれない性格からか微妙な表情で子供だと評する。一方、エリオとキャロは文字通り子供であるので彼女の願いに素直に賛同する。
何よりも二人の心には自分達を優しく救い上げてくれたフェイトという正義の味方がいるので明確なイメージを持っている。自分達が親から捨てられ、自分の力も心も制御することが出来なかったときに手を差し伸べてくれた人。これが正義の味方でないのならば一体誰が正義の味方なのだろうか。
「フェイトさんって白馬の王子様とか似合いそうだしねー」
「それは正義の味方とは違う気がしますけど……でも、確かに似合いそうですね」
「でしょー。まあ、確かにちょっと違う気もするけどね」
話はそのまま誰々にはこんな役や、服装が似合うのではないかといったものに変わっていき、和気藹々とした雰囲気のまま新人達は歩き去っていく。そんな新人達の背中を何とも言えぬ表情で見送るのは、なのはとヴィータの二人組である。
正義の味方になると言い切るスバルの顔には曇りなど欠片もなかった。それが良いことかと言われれば良いことなのだろう。だが、一欠けらも迷いがないというのもそれはそれで不気味である。何か言うべきかとも思うがやはり何と言えばいいのかが分からない。
「やっぱり、どういうものを目指しているかが分からないと何も言えないよね……」
人の心も体も救おうとするのならばいい。一人一人を見つめて救っていくというのならば何も間違いではない。全てを救おうという心を持ち続けられるのならば目指しても構わないだろう。
しかし、それに耐えられるのか。何度も何度も伸ばして手から、指の間から零れ落ちていく命を直視し続けることができるのか。まだ若く小さなあの少女に。それだけがなのはは心配だった。そんな彼女にヴィータが切り替えさせるように声をかける。
「まあ、今日は久しぶりの休暇なんだ。今言うのは酷だろ」
「そうだね。タイミングも大事だよね。それじゃあ私達も戻ろうか」
今話すのは時期尚早。そう結論付けて新人達の後を追うように歩き出すなのはとヴィータ。しかし、この数時間後にこの話がある男により急速に進展していくことを二人はまだ知らない。
流れる白銀の髪、雪のように白い肌、鮮烈な真紅の瞳。一言でいえば絶世の美女。こんな自分には余りにも勿体ないと思
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