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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第47話:アナタがワタシにくれたモノ
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のはず……何事だろうか!?

「如何しましたか、そんなに慌てて?」
近衛隊長のラングストンが、何時もと変わらない口調で慌てた兵士に質問する。
すると……

「で、殿下が……殿下の奥様のアルル様が……」
「アルルさんに何がありましたか!?」
兵士は相当慌ててここまで来たのだろう。まだ息が上がってて上手く喋れない。
しかし“アルル”の単語を聞き、流石のラングストンにも緊張混じりの口調になった。

「ア、アルル様が産気づきました!!」
その台詞を聞き、この場に居た全員が立ち上がった。
そして互いに顔を見合い……

「ラングストン隊長。今すぐ非番の者も招集し、城内の警備を強化せよ!」
「はっ!」
私の言葉を聞き、綺麗な敬礼と共に返事をし、側に居た3人の部下に兵の招集を命じるラングストン。

「それとラングストン隊長……」
「……何でしょうか?」
私は過去の教訓から、大事な指示をラングストンに伝える。

「貴官等近衛兵は、飲食物を独自に用意しておく様に!」
そう……これは私の苦い記憶。
この国に初めて来た頃に体験した苦い記憶が起因の指示。

「了解しております、元近衛隊長殿! 飲食物に睡眠薬等を混入させ、城内で不埒な行いをさせない為ですね」
「そうだ……ティミーとポピーが生まれた時は、祝賀会に薬が混入されており、まんまとビアンカを誘拐されてしまったからな……同じ轍は踏むなよ。世の中が平和になったとしても、人間の本質が変わったわけじゃない!」

私の言葉に、この場に居た全員が顔を見合わせ頷き合う。
私の出産時もスノウ等の時も、大丈夫だったから杞憂だとは思うが、そんな気の緩みを狙われたら目も当てられない。慎重になるに越した事はないだろう。

世界を平和にし、リュカが正式に国王職に就く様になってから、私は近衛隊の隊長として王家の護衛任務に就いた。
その時に設定した規則……『近衛兵は全員で同時に同じ飲食物を摂取しない』と言うのがある。

近衛隊は多数の班に分かれており、班毎に飲食物の手配係が居る。
他の班には手配係が誰なのかは秘匿するのが規則で、各班の班長以外に知る者は居ない。
例え近衛隊長でも知ってはいけない規則だ。

隊長が知るべきなのは“どの班が、何処で飲食物を調達するか”だけだ。
各班が全て同じ場所から飲食物を調達しては、その店の商品に薬を混入させれば犯行可能になってしまう。
なので、同一の店で購入するのは2班までと決めてあり、3班目以降が同じ店を選んだ際は、隊長が許可をしないで変えさせるのだ。

勿論どの班が使用するのかは秘密にしてだ。
しかも隊長は、別の店にする様に通達しても、使用して良い店を指定する事は出来ない。
各班が希望する店を3班以上でダブってないか確認するだけ。

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