6部分:第六章
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第六章
「ちゃんと。養成所も」
「えっ、そうなんだ」
「高校出てたんだ」
二人もだ。唖然として言う。
「ええと、それで名前は」
「何ていうかな」
「秋月碧です」
こうだ。女の子は名乗った。そのうえでぺこりと頭を下げるのだった。
「宜しくお願いします」
「うん、それじゃあ」
「宜しくね」
こうしてだった。二人は碧のマネージャーにもなった。彼女はというと。
歌唱力は英梨程ではないがだ。やはり色々な役をこなせた。それも極めつけに難しい深刻な役から穏やかな明るい役までだ。何でもできた。
その彼女の仕事もだ。瞬く間に飛躍的に伸びた。当然その間英梨の仕事も順調だった。
それを管理するだ。彼等にとってみればだ。
「最近とりわけ忙しいよな」
「全くだな」
「英梨ちゃんだけじゃなくなったからな」
「碧ちゃんもだからな」
「どっちも売れてるしな、かなり」
「忙しい筈だよ」
こうだ。二人で話しながらだ。彼女達の仕事をチェックしていく。
場所は事務所の一室だ。そこで二人同じ机に向かい合って座ってだ。ノートにあれこれと書きながらだ。そのうえで話をしているのだった。
「英梨ちゃんは明日アニメの収録だったよな」
「碧ちゃんもな」
「で、明後日は英梨ちゃんは声優雑誌のインタビューか」
「碧ちゃんはキャラソンの打ち合わせだよ」
「おい、どっちがどっちに行く?」
伊藤は鰐淵に尋ねた。
「二人共収録場所とか全然違うぞ」
「そうだな。車は二台あるしな」
彼等にとって好都合なことにだ。二台空いていたのだ。
「じゃあ碧ちゃんは俺が行くな」
「御前がいくのか」
「ああ、俺がな」
こうだ。鰐淵が言うのだった。
「俺が行くぞ。それでいいか?」
「じゃあ俺が英梨ちゃんか」
伊藤も伊藤で言う。鰐淵の話を受けてだ。
「そうなるよな」
「そうだな。じゃあそれでいいか?」
「英梨ちゃん最近また太ってきたからな」
難しい顔になってだ。伊藤はこんなことも言った。
「ちょっとお菓子を控えてもらうか」
「だよな。さもないとグラビアとかの撮影でまたネットに書かれるからな」
「太ったってな。ちょっとカロリー計算するな」
「ああ、そうしてくれ」
鰐淵は真面目な顔で伊藤に話した。
「俺そういうの苦手だからな」
「ダイエットとかそういうのはだよな」
「ああ、昔から駄目なんだよ」
困った顔でだ。鰐淵は話す。
「だから太ったらそれこそな」
「御前も最近また太ったな」
「すぐこうなるからな」
見れば鰐淵の方が太っている。所謂中年太りだ。そして髪の毛は伊藤の方が薄い。こちらも歳が出ていた。二人共最早そうした歳なのだ。
その彼等が話してだ。暫くのそれぞれの担当を決めていく。英梨には伊藤がいきだ
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