4部分:第四章
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第四章
その彼女にだ。二人は困った顔で言うのである。
「英梨ちゃんはもっとね。お嬢様で」
「それでいかない?」
「何かそういうの好きじゃなくて」
明るくだ。英梨は言うのだった。
「それにファンの人達も」
「喜んでくれるから?」
「だからっていうんだね」
「駄目ですか?お笑いは」
「ううん、社長が何て言うかな」
「それが問題だけれど」
「社長さんはですね」
お兄ちゃんとは言わない。絶対にだった。
「明るく前向きにって」
「それでいけばいいって?」
「そう仰ってるんだね」
「はい。ですからどんどんいきます」
「まあ社長がそう仰るのはいいけれど」
「とりあえず事務所に帰ろうか」
「はい、それで事務所じゃ」
ここでまただ。笑顔で言う英梨だった。笑顔はとても明るい。笑顔の似合う娘だ。
「ちょっと。時間ありますよね」
「ゲームだよね」
「それだよね」
「あとお菓子もありますし」
女の子らしく甘党だった。それもかなりのだ。
「食べながらちょっと」
「ゲーム好きだね」
「まあゲームするのも仕事のうちだし」
声優業界はゲーム業界とも縁が深い。ゲームのキャラクターの声をあてるからだ。
「それでも。英梨ちゃんゲーム好きだね」
「時間があったらいつもしてるし」
「ゲームとお菓子が生きがいですから」
だからだと答える英梨だった。
「ですから」
「お菓子も食べていいけれど太らない様にね」
「グラビアもあるんだし」
「えっ、じゃあ太ったら」
どうなるか。英梨は困った顔で述べる。
「その時はやっぱり」
「ダイエットしてよ」
「絶対にね」
「じゃあその時はですね」
英梨もだ。そのことに応えてだ。こんなことを言ってきた。
「食べませんから」
「って運動は?」
「身体は動かさないの?」
「スポーツ嫌いですから」
そのままだ。インドアの言葉だった。
「ですから太ったらいつもそうしてます」
「ううん、何ていうかなあ」
「確かにダイエットの基本だけれど」
伊藤も鰐淵もだ。そんな英梨の言葉にだ。
その通りだと思いながらも首を振りだ。こう言うのだった。
「運動は嫌いって」
「そうだったんだ」
「はい、嫌いです」
このことは言い切る英梨だった。
「ゲームやアニメが好きです」
「ううん、何ていうか声優って天職なのかな」
「そうみたいだよな。英梨ちゃんの場合は」
「子供の頃からアニメやゲームが好きで声をあてている人に憧れて」
そうしてだとだ。英梨自身も話す。
「声優になれて嬉しいです」
「じゃあこれからも頑張ればいいよ」
鰐淵は彼女のそのやる気をよしとした。ただし事務所に入り声優になった経緯については尋ねなかった。尋ねてはならないことだったからだ
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