第3話 乗り越えるべき障害
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響希(ん?麻酔?傷の調子とか傷の傾向とかを見るのに麻酔?)
嫌な予感がした、ただ麻酔なのか何なのかは定かではないが突然眠気に襲われた。その感覚はこの前刺された時の感覚に似ていた。
しばらくして目が覚めた、泣き声、恋心の泣き声が聞こえた。何を泣いているんだ?俺の目が見える様になったと聞いたからか?そんな考えはすぐに吹きとんだ、包帯は取れていた。瞼も開いていた。でも見えない、視界が無い、盲目となってしまった。
放心状態だったと思う、無理もないのかな刑事の仕事だけでなくこれからの生活も目を使えずに過ごすと考えると正直絶望した。恋心は泣いていた、抱きつきもしてた。でも俺は何も出来なかった、反応も出来なかった、弥生さんも来ていたと思う、沙耶さんも華那先輩も来ていたと思う、でも俺には何も見えない。これはもう心配させないようにとかの次元ではない、1人では生活もままならない、誰の話も耳に入って来ない。みんな頑張ってくれているのにな、無理もないのかな、もう涙も出てこない別に泣き過ぎとかではない、ただ、出なかった。
響希「ごめんなさい、みなさん」
華那「こら、別に響希君が何かしたからこうなった訳じゃないんでしょ?だったら謝らなくていいんだよ」
弥生「響希さん、自分1人で抱え込まないで下さい。私は少し体は不自由ですが出来ることはあるのです、出来ることは何でも手伝いますだから…」
沙耶「いつも1人で事件解決しちゃうし、なのに物凄い謙虚で自分の事悪くしか見ないし、変に気が効く所とかあったり、恋心ちゃんの事大好きだったり、そんなのが響希だから、でもだからって目が見えなくなっただけでそれが響希じゃ無くなるのは絶対違う!」
恋心「私はお兄ちゃんの目が見えなくなろうが動けなくなろうがみんなが見捨てようが、私はお兄ちゃんの事助けるしお兄ちゃんの事大好きのままだから」
瞼は開いていた、見えないままだがさっきまでと違って俺は泣いていた。
響希「すいません、俺…昔からイジメられてて人にこんなに心配されたり、俺の事助けてくれるのとか、そういうの無かったので…嬉しくて、安心して…」
人の前で泣くなんて、昔なら出来なかった、今は子どものように泣いていたと思う。その日は解散したようで俺が落ち着いた時には恋心だけだった。
恋心「落ち着いた?お兄ちゃん」
響希「ああ、嬉しかったよ。本当は皆さんにお礼を言いたかったんだけど」
恋心「私が代わりに言っておいたから安心して、ほらお兄ちゃんさっき何も食べてないでしょ?看護師さんが心配して新しく作ってくれたよ、食べよ?」
響希「ありがとう、よろしく」
恋心「うん、はい、あーん」
響希「ん」
これからは価値観が変わった。頼る時はみんなに頼ろう、1人じゃ生きていけないからな…
~~~~次の日~~~~
月曜日、沙耶さんが朝早くに来た。
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