1部分:第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
第一章
人生至るところに青山あり
二人はだ。いきなり務めている会社の社長にこう告げられた。
「首だよ」
「えっ、首!?」
「首ですか」
伊藤幸一も鰐淵新作の二人、この社に務めてそれぞれ十年以上経つ二人はだ。いきなり社長に直々に告げられて呆然となってしまった。
それでだ。慌ててこう社長に言ったのである。
「あの、うちの会社ってそんなにまずいんですか?」
「業績あがってるんじゃ」
「それに株価だってかなりあがってますし」
「海外進出も成功してますし」
実は大企業だ。八条グループという財閥の系列の傘下企業なのだ。八条グループは日本はおろか世界でも有数の一大グループである。
だからだ。二人もまさかいきなりリストラに遭ったのかとだ。まずはこう思った。
そしてだ。次にはこう思ったのだった。
「あの、俺達何もですよ」
「別に援助交際とか飲酒運転とかしていませんよ」
「本当に女房子供を養って真面目にです」
「巨人も嫌いですし」
「最後はいいことだな」
社長は自分の椅子からだ。二人がアンチ巨人であることは褒めた。
「だがそれでもだ」
「それでもって」
「やっぱり首なんですか、俺達」
「そうだ。君達には我が社を辞めてもらう」
「あの、それで首の理由は」
「一体何なんですか?」
二人にしてもその理由を聞きたかった。それで何とかといった感じで尋ねたのである。
「それを聞きたいんですけれど」
「しかも社長がやっと主任になった俺達に直々にって」
「何かあるんですか?本当に」
「まさか不祥事の身代わりとか」
「我が社はそんな不祥事は犯してはいないぞ」
社長もそのことはむっとした顔で否定する。
「グループ全体でもそんな話はない」
「ですよね。八条グループは優良グループですし」
「それはないですよね」
「そうだ。それで君達の首の理由はだ」
やっとその話になった。社長から進めてきた。
「あれだ。エイトビジョンに行ってもらう」
「エイトビジョン!?」
「それって確か」
「八条グループ傘下の声優事務所だ」
それだというのである。
「そこに行ってもらう」
「あれっ、じゃあこの会社からですか」
「エイトビジョンに出向ですか」
「出向ではなくそこの社員になってもらう」
首にしてからだとだ。そうなるというのだ。
「わかったな。そうしてもらうぞ」
「ううん、声優の事務所にですか」
「俺達が入ってですか」
「マネージャーになってもらう」
既に決まっているとだ。社長は二人に話す。
「わかってくれたか」
「声優さんのマネージャーって」
「何でまた」
「あれだ。私に妹がいるのは知ってるな」
「ええ、この会社の副社長じゃないですか
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ