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ダンまち短編集
アイズ モンスタージャー
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時、息を切らしながら走ってきた人物は以前怪物祭の際に脱走したモンスター達の討伐をお願いしてきたハーフエルフのギルド受付職員、エイナ・チュールだ。
 あの慌てっぷりから察するにまた由々しき事態が発生したのだろうか? とアイズは少し身構える。一方レフィーヤは件の事件では対処してないし、そもそも面識がないのか首を傾げてきょとんとしている。

「また何かあったんですか?」
「ハァ――ハァ――! ヴァレンシュタイン氏! 申し訳ありませんがまたお力をお貸しください!」
エイナの話しによれば、【魔物の壷】という入れた魔石の質と量に準じたモンスターを召喚できる非常に危険な代物が学業系のセトファミリアの生徒達によってフリーマーケットで売り払われてしまったらしいのだ。
「それはまた……どうして?」
 レフィーヤが尋ねながらスタミナを回復させる魔法をかける。こうも肩で息をされたら聞けるものも聞き取り辛くなると思ってのことだ。
「セトファミリアの体験授業の一環として、無駄にギルドの倉庫を圧迫している雑多なアイテムを生徒達が値付けをして売り捌くというものだったんですが……」
 
 どういう経緯か件のマジックアイテムが紛れ込んでしまったらしい。このままでは大変なことになると各ギルド職員がオラリオ中のファミリアに捜索願いを出している最中であったのだ。
「仕方がない、レフィーヤ。タルトはまた次の機会にしよう。手分けして壷を探しに行くよ」
「はい……残念ですが仕方ありません」
 デートがおじゃんになってしまった彼女は前髪ぱっつん(エイナ)を気付かれない程度に睨みつつ、行動を開始した。足の速いアイズは都市の外縁を、逆にレベルが低いレフィーヤは内縁を担当した。




「しまった……どこから探せばいいんだろう……」
 頼まれた勢いでここまで走ってきたのはいいが、アイズは壷の形状すら聞かずに来てしまった。これでは周囲の人に聞くことすら出来ない。うっかりはいつもの――いや違う。これは普段からしてレフィーヤの役だ。
「うーん……参ったな……」
 引き受けてしまった以上、他の冒険者に解決を任せよう!というわけにもいくまい。手がかりがない以上地道に聞きこみをしていくしかない。まさか悲鳴や騒ぎを聞きつけてからじゃ――きゃあああああ!!!――……遅かったようだ。
 若い女性の叫び声を聞くやいなやそこはレベル5の冒険者。一般人では目にも止まらないスピードで現場へ急行する。

「あ、あわわわ……何でいきなりモンスターが……ベルさん助けてぇ!!」
 声の主は腰を抜かし地面に尻餅をついている状態だ。あの銀髪のライトグリーン系の給仕服には見覚えがある。

【豊穣の女主人】の店員の一人、シル・フローヴァ。この店にはアイズの主神であるロキが常連の為、何度か会話をした
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