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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
41.魔導を極めし者
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 いつの間にか、神はナイトで道を切り開き、その刃をキングの喉元に突き付けていた。

「ふむ……ここから粘って勝ちを拾いに行くことも不可能ではないが、確率としては低そうだ。それにしても面白い差し方をしたね。今までの動きは全て、このナイトを活躍させるための伏線だった訳か。………ああ、約束は勿論守るよ。もとより君を支配できるなどと思いあがったことは考えていない」
『ならいい。それではそろそろお暇させてもらうよ』
「結末を見届けないのかい?」
『晩酌の場で私の眷属から結末を聞くよ。それに、今日は私が食事を作る当番だ』

 静かに席を立った神に、青年は声をかける。

「これも不思議に思っていたんだが……君はこれまで沢山の人物を僕に紹介してくれた。なのに自分のたった一人の眷属は一度としてここには連れてこなかったね。何故だい?」

 神には今、一人だけ眷属がいる。
 しかし、その眷属が出来る以前にもこの神は眷属を作っている。そしてそれを彼に引き合わせ、その全員が彼の同志となった。つまり、神はずっと仲介役という形でしか眷属を持つことをしていない。仲介が終わればすぐさま眷属契約を解除して後の事は知らんぷりだった。
 しかし、他の誰を同志として彼に引きあわせても、たった一人の眷属だけは「契約」が終了しても一度たりとて連れてこなかった。

「それほど眷属くんに惹かれたのかい?」
『約束をしたからね』
「約束?」
『あの子は、『腕さえあれば』と言ったんだ』

 神は静かに振り返り、その「単眼」の模様越しに彼を見た。

『他の戦士は与えた力で直ぐに答えを出した。でも、あの子はまだなんだ』
「それが理由かい?」
『いつかきっと、あの子は私の目玉が飛び出るほど驚く答えを持って来る気がするんだ。……むむっ』

 この神がそう言うのなら、本当にそうかもしれない。
 何とはなしに、彼はそう思った。

「興味深い話だ……その答え、僕も是非とも聞きたいな」

 しかし、答えを出すなら急がなければならないだろう。
 彼が『事』を起こした時には、既に刻の砂は硝子のくびれを通り過ぎた後だから。
 
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