41.魔導を極めし者
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の痛みをこらえながら足元を見る。
「………お二人とも足が綺麗です、ね?」
「まったく男って奴は!見るのはもっと下ぁっ!鎧の背中だよ!!」
べしべしべしっ!!と頭を叩かれまくりながら「何で僕こんな事やってるんだろう」と自問するベルだったが、鎧の背中を見た瞬間にあっ、と声が漏れた。その鎧の背に、本来ならばある筈のない物が浮かび上がっていたからだ。
「あれって、冒険者の背中に刻まれてるエムブレムと神聖文字!?」
「そうだよ(便乗)」
「大発見だと思って皆に声かけたのに無視するし……無視するし〜〜!!」
がすがすと地団太を踏む女性とミスタービンジョーはさて置いて、まさか鎧に神聖文字が刻まれているとは予想外だった。そもそもあれは人間に刻まれているものなのでは……と混乱してしまうが、この報告にポーション談義に花を咲かせていたメンツの顔色が変わる。
「……神聖文字が刻まれてるってことは、『神気』も内包してるって事か?」
「だとしたら、あいつらにポーションをぶっかければ……」
「『神気』に反応したポーションが鎧に強制的に浸透しようとし魔力バランスが崩れて、話の通り爆発させられるかも………!?」
光明が、見えてきた。
= =
「我が主君、戦局が動き始めたそうです」
「へぇ……思ったより早かったね?」
背後に控えていた『部下』の声に少々意外そうな声色を出しつつ、彼はチェスの駒を一つ前に進めた。彼の目の前にいる対戦相手は静かに唸り、細い手で駒を一つ突きあわせた。
「主要な存在がまだ動いていないにも拘らず解決の糸口を見つけたんだね。この街の危機管理能力を過小評価していたかな?」
「いえ、あの『学者崩れ』の独り言から手がかりを得たようです。あの男の気まぐれと慢心がなければ今も右往左往していた所でしょう。所詮、神々の住まう街などその程度の場所――」
「どうかな。通常では掴めない運命というものを掴む……そのような『偶然』を引き寄せる素質も世の流れには存在するものだ。彼の少年もまた数奇な運命を辿る子……興味をそそられる対象だね」
会話を続けながらもチェスは進み、彼は何の躊躇いもなく相手の布陣を翻弄する。打てば打つほど相手の熟考時間は伸び、選択肢が確実に潰されていく。盤上の趨勢がどちらに偏っているのかは誰の目から見ても明らかだった。
『………容赦がないな、君も。私がチェスを苦手な事を知っていてこれは大人げないんじゃないか?』
「ほんの戯れだよ。そう目くじらを立てなくともいいじゃないか」
『付き合わされる私は心穏やかじゃない』
くぐもった不機嫌そうな声に、彼は苦笑いする。彼の対戦相手は暇を持て余す神々の一人――その中でも一等何を考えているのか分からない存在なの
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