41.魔導を極めし者
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た。
ところが、当の観察者は『移動遊戯』というふざけた遊びをしている連中と合流して行方をくらませた。もし相手に魔術の素養があればもっと早く手を打っていたのだが、相手からはそのような気配やマナを全く感じられなかった。要するに、ただのデバガメしていた凡人だ。
「まァいい。出来れば存在を悟られねぇように動けってオーダーだったが、『あれ』はそこまで狭量でもねぇし、『出来れば』の話だかんな。大体『あれ』の計画が成功しようが失敗しようが俺様は俺様の魔導を探求するだけよ」
唯の冒険者一人、放置して致命的な穴になる訳でもなし。今から追いかけてもどれがデバガメの犯人か特定するのが骨だし、目撃者を出さないように殺すとなれば皆殺しにしなければならない。不可能ではないが、やらないデメリットをやるデメリットが上回るような真似をするほど男は暇ではなかった。
「あ〜〜〜あ。どっかに俺様の興味を引くほど奥深くて素晴らしい魔法がないもんかね?今回のも応用としては悪くなかったが、根本的な部分で人間業を越えられねぇ。人類の生み出す魔法はもう飽き飽きだ……」
心底つまらなそうに、男は足をぶらぶらさせながら路地裏の影に移動し――音もなく『影』の中に沈んで消えた。彼が消えた後の影が、まるで水面のように一瞬ゆらぎ、元に戻った。
= =
『反応が急速に遠ざかっていく………逃げる気なのか……逃げる、なよ……僕から逃げるなァァァァァァァーーーーッ!!』
巨大な鎧が甲高い咆哮をあげる中、『移動遊戯者』の集団はベルから情報を得ていた。
「何だとぉ!?全部不壊属性ぇッ!?」
「は、はい!よく分からないんですけど、凄い威力の魔法をぶつけられてもビクともしてなくて……なんか最後の方は魔力の暴走に弱いとかいう話をしてました……たぶん」
「魔力暴発の事か……?理屈は分かるが随分と飛躍した話だぞ?」
「だが少年は『移動遊戯者』。つまり俺達の仲間だ!仲間の言う事を信じない奴は終わってるゼェ!!」
「いやだから僕はそのパルクーラーじゃな……」
「「「「屋根に足をかけたその瞬間!君は俺らの仲間入り!!」」」」
「どうしよう!僕、このノリに着いていける自信がないッ!!」
都会の人はみんなこうなのだろうか、とベルは頭を抱える。もしそうだとしたらこれから都会で友達を作っていく自信がない。しかし、それはさて置いて鎧だ。この調子ではあの鎧たちを追い払わなければヘスティアどころかパルクール集団から解放される事も出来ない。こうなれば騒ぎの原因である鎧を片づけるしかない。
と、覚悟を決めたはいいものの……現実は厳しいものだ。
『ウィリスゥゥゥ!!そうか君は追いかけっこがしたいんだねぇ!?昔はいつも僕がびりっけつだったもの
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