41.魔導を極めし者
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させた状態と同意義。つまり対魔法術式である『ウィル・オ・ウィプス』を初めとした魔力暴走干渉に極端に弱い。いくらアストラル体に人の意志が宿ろうが、そのアストラル体そのものを暴走させられては唯の爆弾だ………いや、それを利用して自爆戦法ってのもイカしてるな?帰って一度考え直しておくか!」
爆発のすぐ近くにいた筈の黒いエルフには傷一つなく、埃ひとつローブに付着していない。最初に見た様な壁の魔法で全てを防ぎ切ったのだろう。男は鎧の方には見向きもせずに懐から取り出した使い古しのメモ帳に何かをペンで書きこんでいく。
冒険者とも、魔法使いとも、これまで見聞きしてきたありとあらゆる人間に感じられなかった異常性。戦いという行為を実験としか捉えておらず、一切の攻撃が通る気配のない超越的な力。アズライールのそれとは全く違う、背筋をなぞる『気味の悪さ』に、ベルは震えた。
(……あの人の事は気になるけど、今は神様だ)
改めて巨大鎧を確認すると、段々と最初の道を逸れてベルの側に接近しつつあるのが見えた。方角だけを見れば未だにヘスティアのバイト先に近い方向へ向かっている。さっきまで見ていた光景や疑問を一度頭から追い出したベルは、愛すべき主神のいる方角へ飛び出した。
と同時に、屋根の上を移動する集団が次々に集まってきてベルの進路を塞いだ。
「何やってんだお前!ターゲットはあっちだろうが!一緒に行くぞ!!」
「あら、可愛い子!ねえねえ名前何って言うの?」
「後にしろ馬鹿!!それにしても一人で偵察に向かうとは『移動遊戯者』の鏡のような少年よ!さあ、俺達が来たからには恐れる物はない!共にこの街の屋根を護るぞ!!」
断っておくが、ベルからしたら全然知らない人達である。しかし彼らは『移動遊戯』に魅入られし者たち。彼らの不文律の中には、『屋根の上で会った者は顔を知らずとも兄弟!!』としっかり刻まれている。
つまり、端的に言うと――彼等はベルの事を広義での仲間だと勝手に勘違いしてる。
「へ?え?いや、僕は今急いでまして……」
「レッツゴー!!」
「な、何でぇぇぇーーーーーッ!?」
『移動遊戯者』はノリが大切。ノリが良ければ全て良し。故にノリで盛大に勘違いされたベルは半ば強制的に鎧討伐部隊に連行されることとなってしまったのであった。
「ファック………誰だか知らんが上手く逃げやがったなぁ。声からしてガキかぁ?」
鎧の処分が終わった男は、ローブのフードをかぶり直しながら悪態をつく。
男は、途中から誰かが自分の事を観察しているのには気付いていた。ただ、鎧の方に興味が向いていたので後回しにしていただけだ。終われば適当に始末して死体を跡形も残らぬよう燃やして灰にするつもりだっ
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